伝統芸能の道具ラボは田村民子の個人活動として2009年に開始し、歌舞伎と能楽、文楽を主なフィールドとしています。「制作ルートが途絶えてしまった道具の復元」と執筆を軸にさまざまな活動行っています。
【活動概要】
名称 | 伝統芸能の道具ラボ |
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主宰者 | 田村民子(プロフィール) |
活動開始年 | 2009年 |
活動拠点 | 東京 |
問い合わせ先 | info★dogulab.com(★→@) |
【沿革】
2009年に道具の支援活動を開始して以来、歌舞伎や能、文楽など芸能の道具が抱える課題を具体的に解決するための支援活動を行っています。2019年12月末現在、制作ルートが途絶えていた歌舞伎の道具を4点を復元、鷹匠の道具も2点を復元しています。
能については笠の製作ルートさがしなどをいくつかの道具の製作補助のお手伝いしているほか、文楽の裏方の道具調達でも協力をしています。
伝統芸能の世界はデリケートなことも多く、道具ラボの活動も様々な配慮のために、このWebサイトですべてを公表しておりません。以下の年表に記載したもの以外にも、たくさんの小さなプロジェクトを行っています。
田村は国の文化財を支える技術継承支援の仕事にも関わっていますが、国では対応できない部分も多くあります。国と民間活動のハイブリッドで、これからも総合的に芸能の道具を支援していきます。
2007年 | ・歌舞伎公式Webサイト「歌舞伎美人」の編集・ライターとして、歌舞伎の裏方や職人を取材しはじめる。 |
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2009年 | ・歌舞伎の裏方や職人取材を通して、現場が抱える課題を発見。さまざまな道具が作れなくなっていることに危機感を抱き、道具の支援活動を開始。 |
2010年 | ・制作ルートが途絶えていた歌舞伎の髪飾り「鹿の子」を約1年かけて復元させる。(詳しくは「活動報告 鹿の子」をご覧ください) |
2011年 | ・公益財団法人トヨタ財団「2011年度 研究助成プログラム(個人奨励)」に採択される。
研究題目:「日本の伝統芸能に用いる道具類の希少技術を未来へ継承するための技術保存ネットワーク・プラットフォーム構築を目指す研究―衰退危機に瀕する能楽・歌舞伎の道具についての研究」 ・能楽の道具の復元に取り組みはじめる(協力:観世流梅若会) |
2012年 | ・京都絞り工芸館にて展覧会「床山の技展」を企画・開催(ワークショップを4回開催) ・『かぶき手帖 2012』に特集記事「歌舞伎のかつらと衣裳」執筆。 ・京都ホテルオークラにて「歌舞伎 女形の美に迫る 〜床山の技」講演。 |
2013年 | ・「第17回テクニスト研究会技術交流会」(於・理化学研究所)にて講演。 ・『かぶき手帖 2013』に特集記事「歌舞伎の大道具」執筆。 ・制作ルートが途絶えていた鷹匠の用いる組紐(大緒)を復元させる。(詳しくは「活動報告 鷹匠の道具」をご覧ください) ・制作ルートが途絶えていた歌舞伎の櫛を約3年かけて復元させる。(詳しくは「活動報告 フェイク・ベッコウ」をご覧ください) |
2014年 | ・『かぶき手帖 2014』に特集記事「歌舞伎の小道具」執筆。 |
2015年 | ・制作ルートが途絶えていた歌舞伎の「百姓蓑」を約1年かけて復元させる。(詳しくは「活動報告 百姓蓑(復元)MINO」をご覧ください)
・「伝統文化のための竹プロジェクト」をスタートさせる。 |
2016年 | ・伊勢丹新宿本店のイベント「伝統芸能 Art Labo」に企画協力として参加。
・歌舞伎のキセル入れの布地を復元させる。(7月)(詳しくは「活動報告 鹿の子のキセル入れ」をご覧ください) ・報告書「宮津 竹の教科書2015」(2016年3月発行)に「歌舞伎の小道具における竹」を執筆。 ・能の月刊誌『観世』の連載「能楽と職人たち」開始(6月号より隔月掲載) |
2017年 | ・能の道具「羽団扇」プロジェクトをスタート(3月)
・能楽タイムズ(WEB)にて連載「ぐぐっと能狂言」開始(5月〜) ・東京新聞の連載「お道具箱 万華鏡」開始(6月〜) ・新聞連載「伝統芸能玉手箱」開始(時事通信社:掲載終了)。 |
2018年 | ・イベント「日本の伝統文化のなかに生きる動物たち」を開催 (3月・多摩動物公園)。 ・復元した歌舞伎の小道具「鹿の子絞りのキセル入れ」がデビュー ・能の道具「鷺冠」の修繕のために、コサギの羽根を能楽団体(宝生会)に譲渡するプロジェクトに関わる。 ・東京新聞の連載「お道具箱」執筆(シリーズ通算4年目)。 |
2019年 |
・能の笠の製作ルート探しプロジェクト完了(7月)*活動期間、約4年間。 ・宝生能楽堂(東京)のロビーにてパネル展示「日本の伝統文化のなかに生きる動物たち」(10月・日本自然保護協会、多摩動物公園と共催)。 ・制作ルートが途絶えていた鷹匠の用いる組紐(忍縄)を復元させる。(詳しくは「活動報告 鷹匠の道具」をご覧ください) ・文楽の裏方、集中取材実施。 ・東京新聞の連載「お道具箱」執筆(シリーズ通算5年目) |
2020年 |
*新型コロナウイルス感染拡大の影響* ・新型コロナウイルス感染拡大に伴い、芸能道具の裏方、職人へ文化支援情報を提供。 ・新型コロナウイルス感染拡大による能装束製作への影響を、UNESCOに報告。 ・東京新聞の連載「お道具箱」執筆(シリーズ通算6年目) ・朝日新聞「論座」に芸能道具についての執筆開始。 ・文化庁「伝統芸能用具・原材料に関する調査事業」(令和2年度)に委員として協力。 ・東京文化財研究所にて「フォーラム 伝統芸能と新型コロナウイルス」に登壇(9月、東京)。 ・港区エコプラザにて「伝統芸能と自然の関わりvol.2~道具としての‘竹’について考える~」開催(12月、東京) ・「芸能道具ミライ研究室」始動 |
2021年 |
*新型コロナウイルス感染拡大の影響* ・東京新聞の連載「お道具箱」執筆(シリーズ通算7年目) ・朝日小学生新聞、朝日中高生新聞に伝統芸能インタビューを月1で掲載(2021年4月-2022年3月) ・文化庁「伝統芸能用具・原材料に関する調査事業」(令和3年度)に委員として協力。 ・能の道具・羽団扇プロジェクトの成果として、展示教育用のモデル羽団扇を完成させる(1月)。 ・港区エコプラザにて「伝統芸能と自然の関わりvol.3~歌舞伎の「蓑(みの)」と里山の生物を例に考える~」開催(9月、東京) ・明治大学 文学部 演劇学専攻にて講演(9月 オンライン) |
2022年 |
*新型コロナウイルス感染拡大の影響* ・東京新聞の連載「お道具箱」執筆(シリーズ通算8年目)。 ・環境パートナーシップCLUB自然共生社会文化会研究会で講演(2月) ・AERA「現代の肖像」にて紹介される(3月) ・日本芸術文化振興会「伝統芸能伝承者養成事業」(令和4年度)に委員として協力。 ・文化庁「伝統芸能用具・原材料に関する調査事業」(令和4年度)に委員として協力。 ・共同代表を務める「芸能道具ミライ研究室」本格的に活動開始(Webサイトオープン)。 ・港区エコプラザにて「伝統芸能と自然の関わりvol.4~各地に根付く郷土芸能 東北の鹿踊(ししおどり)を例に~」開催(9月、東京) ・明治大学 文学部 演劇学専攻にて講演(10月 東京) ・デジタルハリウッド大学「日本文化史」にて講演(10月 東京) |
2023年 |
・東京新聞の連載「お道具箱」執筆(シリーズ通算9年目)。 *新型コロナウイルス感染拡大の影響:3月ごろから社会全体がコロナ禍前に戻りはじめる* ・クルミド大学・能の連続講座「能の扉」(第1期)にてカレッジマスター担当(4月〜9月) ・日本芸術文化振興会「伝統芸能伝承者養成事業」(令和5年度)に委員として協力。 ・秩父宮記念市民会館にて狂言公演の事前講座を担当(7月 埼玉) ・国際会議「Asia-Pacific Regional Conference ‘ICH Resilience and the COVID-19 Pandemic’」にてコロナ禍の能装束の現状を報告(7月 大阪) ・港区エコプラザにて「伝統芸能と自然の関わりvol.5~コンゴ共和国の生物多様性から学ぶ」開催(9月 東京) ・日本自然保護協会、多摩動物公園と連携して作成した能の道具・モデル羽団扇『木蓮号』が日本自然保護協会の市民カレッジ「イヌワシ保全先進国 スコットランド研究者と考える~ニホンイヌワシの未来」でデビュー(9月 東京) ・金津流石関獅子躍の道具調査(12月 岩手) ・歌舞伎床山に櫛職人と和紙職人(製紙会社)を紹介。 ・雅楽の用具開発(篳篥の廬舌製作で用いる「ひしぎごて」)に協力。 |
2024年 |
・東京新聞の連載「お道具箱」執筆(シリーズ通算10年目)。 ・法政大学能楽研究所の能楽賞・催花賞の贈呈式で、佐々木能衣装への祝辞を述べる。 ・能楽タイムズ(2024年3月号)第864号の能楽対談 第644回 「能装束の製作」に聞き手として協力。 ・文楽衣裳の布地探し、進行中。 ・金津流石関獅子躍の麻布探し、進行中。 ・雅楽・篳篥奏者の使う「ひしぎごて」改良品プロジェクト、進行中。 ・クルミド大学・能の連続講座「能の扉」(第二期)開催予定(4月〜9月 東京・国分寺) ・小山市立中央公民館 教養大学「道具から楽しむ伝統芸能」全4回(5月〜6月 栃木県) ・港区エコプラザ「伝統芸能と自然の関わりvol.6~能の衣装と植物のつながり~」開催(6月 東京) ・秩父宮記念市民会館 伝統芸能講座『もっと歌舞伎が楽しくなる!~小道具に宿る職人技~』(6月 埼玉)。 ・歌舞伎床山が使う和紙「紺土佐」プロジェクト、完了(9月) ・伝統文化地域アクション研究会にて講演(10月 東京) |
2025年 | ・ |
*その他の講演活動については「普及活動」のページをご覧ください。