『蘭平物狂(らんぺいものぐるい)』(本外題は倭仮名在原系図)は、後半に華やかな立ち回りのある演目です。このたびは三代目尾上左近さん(松緑丈のご子息)の初舞台でもあるため、「祝い幕」もあります。
立ち回りでは、蘭平(松緑丈)がちゃりちゃりと音のする刀を持ちます。小道具さんにうかがったところ、この刀は「鳴鍔(なりつば)」というそうです。戦いの凄まじさから、鍔(つば)が緩んできた、ということを表しているそうです。今年の7月には、歌舞伎座で『夏祭浪花鑑』が出ますが、「泥場」でも、この刀が使われます。この音が躍動感や、心の動きをあらわしているのです。
手前味噌になって恐縮ですが、『かぶき手帖2014』の巻頭で、歌舞伎の小道具の特集記事を書かせていただきました。そのなかで重点解説として「刀」について詳しく書いています。ご興味がありましたら、ご覧いたけましたら幸いです。
(『かぶき手帖2014』より)
六月大歌舞伎
平成26年6月1日(日)~25日(水)
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2014/06/post_76.html
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