六月大歌舞伎をご覧になった方の感想を集めてみました。道具についての感想を中心にご紹介します。
六月大歌舞伎
平成26年6月1日(日)~25日(水)
配役
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2014/06/post_76-ProgramAndCast.html
【夜の部】
『蘭平物狂(らんぺいものぐるい)』三代目尾上左近 初舞台
『素襖落(すおうおとし)』
『名月八幡祭(めいげつはちまんまつり)』
「蘭平物狂のアクロバットや大梯子は日本版サーカスみたいで、大衆芸能としての歌舞伎を感じられました。本水(※1)の舞台は迫力ありますね。名月八幡祭で、三次(さんじ)が刻みタバコ入れを取り出してキセルに詰めてるなーと思っていたら、本当に火をつけて吸ってたことに驚きでした(※2)。
あと、蘭平で井戸の釣瓶の桶を放り投げたら桶が壊れた!小道具さんの苦労がしのばれる一幕でした。素材的にはツケうちの人が使っている木の素材は何かな〜と(※3)。素材が変わると音の響きも変わりそうなので、自然の変化と関連するかも。まあ楽器は全てそうですね」(生物学者・男性)
※1:「本水(ほんみず)」。舞台で本物の水を使うこと。『名月八幡祭(めいげつはちまんまつり)』のラストで、本物の水の雨を降らせる場面があります。
※2:歌舞伎ではキセルはよく登場します。このあたりは、『かぶき手帖2014』44ページに書いています。本文では文字数の関係で書きませんでしたが、国産のきざみたぱこが1銘柄あり、それを使っています。
※3:ツケ打ちの道具については、以前に田村が取材した記事があります。手に持つツケ木のほうはカシの木、ツケ板はケヤキです。同じ材料で、同じ大きさでも、やはり音が全然違っているそうです。
ツケ打ちの道具について http://www.kabuki-bito.jp/special/tepco/44/no2.html
★★★
「第三幕の悲恋ものの話(名月八幡祭)は、あの舞台装置が良かったです。本当に川べりを船が渡っているようでした。川沿いの家の戸に水面の輝きが写り込んでいる様子も川のリアルさを増していました。夏の暑さも、夕涼みも感じましたし。祭りや嵐の臨場感も感じましたし。ぐっとその世界に引き込まれます。もちろん役者たちの力もあるのでしょうが、舞台装置や小道具などの力もあって、両者がうまく溶け込んで一つの世界なんだなあとあらためて思いました」(ジャーナリスト・女性)
★★★
「三作品の構成も変化に富んでいて、活劇、喜劇、悲哀ものと5時間の長さを感じさせませんでした。
『名月八幡祭』は歌舞伎の舞台変化を短い時間で成し遂げる技を十分堪能しました。この幕はイヤーフォンガイドが必要ないくらい理解できました。大道具、小道具の重要さ、俳優の日頃の鍛錬による声量の大きさなどを感じ、歌舞伎舞台の醍醐味を堪能した時間でした」(ものづくり専門家・男性・歌舞伎初観劇)
★★★