浅草公会堂 新春浅草歌舞伎の夜の部『勧進帳』の組紐・房に注目してみます。
どうして組紐と房をセットにしてお話するかというと、房は組紐のしっぽの処理のひとつで、一人の職人さんがどちらもてがけるからです。組んだ後は、なにがしかの始末をしないとけませんが、そのひとつが房(フリンジ)なのです。
歌舞伎のなかには、いろんなところに組紐や房が使われています。刀の下緒(さげお)や、頭になにかをかぶるときは、それを顔に留めるための紐、衣裳の袖に飾りとして房がついたり、遊女の髪の後ろを飾る髪飾りとして使われたりしています。
『勧進帳』では、どこにつかわれているでしょうか。弁慶などの胸についている大きなボンボン、これは梵天(ぼんてん)と呼ばれますが、房の一種です。頭に付ける頭巾(ときん)という小さな帽子は長い組紐がついていて、これを結んでとめます。俳優さんによって顔の大きさなども違いますから、太さや長さを変えて作られているそうですよ。それから腰のあたりにゆるやかに巻かれている紐も組紐で「虎の緒」といいます。また、亀井、片岡などの四天王の刀の下緒の色は、それぞれ違うそうです。こうしてみると、たくさんありますね。
これらの組紐や房をつくっているのは、職人の江口裕之さんです。以前、取材した記事がありますので、よろしければご覧ください。江口さんが組紐を組んでいく仕草は無駄がなく、見飽きることがありません。奥様の惠さんもいろんな作業を手伝いながら、陰からしっかり支えておられて、とっても素敵なご夫婦です。
歌舞伎の逸品を手に入れる 組紐編(取材・文 田村民子)
http://www.kabuki-bito.jp/special/tepco/36/no1.html
それから、東京新聞さんにも『勧進帳』の小道具についての記事がアップされているようです。
すごくおもしろいので、こちらもぜひご覧ください。
東京新聞Webサイト
<幕の内外>「勧進帳」小道具 制作者泣かせのこだわり
イラストレーター・辻和子
http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/tradition/CK2013012102000165.html
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