「能は見てもわからん!」という声をよく聴きます。ほんと、そういうところもあると思います。
2月22日の東京新聞の連載「お道具箱」では、そんな能の観劇をサポートしてくれる字幕解説「能サポ」というサービスについて書きました。
この「能サポ」は、どんどん進化しています。ずいぶん前に使ったときは、正直に言うと使いにくいかなと思ったりもしたのですが、近年、めきめきと使いやすくなっています。
これなら、初心者の人におすすめできます。
能の解説サービスについては、賛否両論あるようです。でも、歌舞伎の「イヤホンガイド」と同じように、使いたい人にとっては有効なガイドになると思います。
私は一緒に能を楽しむ人が増えるといいなと思っているので「使うこともできる、使わないこともできる」という選べる環境を整えるのが大事だと思います。なので、この「能サポ」など、観劇をサポートしてくれるサービスを取り入れた公演が増えていくといいなと思いました。
こうした能の字幕解説サービスは、似たようなものが国立能楽堂にもあるのですが、初めて能を見る人に「こういうのあるけど、使ってみる?」とたずねられれるのがありがたいです。歌舞伎はイヤホンガイドがあるので同行しなくても「あれ、借りたらいいよ」と言っておけば、勝手に楽しんでくれます。能の場合は、みっちりフォローしてもだめなことが多い。
「能が見てみたい」という人がいると、うれしいのであれこれ世話をやいた時期もあるのですが、なかなか一人立ち(自分でチケットを買って見に行くようになる)する友人は少ないです。そういうのが続くと、こちらもしおれてきます。観劇をサポートしてくれるサービスは、もっとあったほうがいいかなと。
これから先、おばあちゃんになっても、いい能を見たいです。能もビジネスで成り立っているところもあるので、支えるファンがたくさんいないと、やっぱり公演数も減ってくるだろうし、質も落ちてくると思うんですよね。すでに能の面白さをわかっているひとりひとりが、小さくてもいいから、ファンの裾野を広げるようなことをしてくと、いろいろ変わってくると思います。
2月22日の東京新聞の連載「お道具箱」は、以下のリンク先でも読むことができます(一定期間を経過すると、読めなくなります)。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/tradition/CK2019022202000219.html?fbclid=IwAR2J4nSqZrOr67N9xX70PI9YjVhNWgHJk46qTPk6A6up3JqvfGVGb6s98ro
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