調査活動
Vol. 07

(7)新型コロナウイルス感染拡大の影響の記録_2020年1月から2023年3月(2023.5.4更新)

高松宮内張り子 ねこ

21/04/26 UP

2019年末、中国で新型コロナウイルス発生。
日本においては、2020年1月からじわじわと、2月からは、あっという間に状況が変化してしまいました。
伝統芸能にも、現在進行形で甚大な影響を与えています。
そこで「東京」、国立劇場や国立能楽堂、国立文楽劇場(大阪)などの「国立系劇場」、「歌舞伎座」そして「道具を作る裏方、職人」を軸に、「新型コロナウイルスの影響」を忘れないように、記録していきたいと思います。
月別にまとめた時系列の出来事と、各月の様子や心理状況などを短いレポートにしました。




2020年1月

能楽、歌舞伎、文楽、組踊、落語など、普通に公演が行えている。裏方、職人たちも、いつも通りに仕事を行っていた。

日にち できごと
16 ・日本で初の陽性の患者が確認される
24 ・東京都初の感染者
31 ・WHOが「緊急事態」を宣言
・東京都陽性患者数(累計)3人




2020年2月

★第1波★
なんとなく日常生活も、不安が出はじめる。2月の歌舞伎座公演は、千穐楽まで無事に上演。文楽の2月東京公演も全日程、上演。東京都の一日の感染者数はまだ、一桁台。しかし、中旬を過ぎたあたりから、だんだん雲行きが怪しくなり、26日の首相の「イベントなどの自粛要請」から一変。公演中止の発表が多く出された。
裏方、職人たちは、少し不安は抱えているものの、まだ緊迫感は薄い。この先、少し大変な時期もあるかもしれないが、1-2ヶ月くらいで収束するだろうという予想の人が多かったと思う。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
3 ・大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号、横浜港に着岸せず再検疫
13 ・国立能楽堂が主催公演を上演。これ以降の主催公演が中止される(詳細)
20 ★厚労省「イベント開催の必要性、検討を」(詳細)
23 ・「第20回地域伝統芸能まつり」中止(詳細)
26 ★首相、イベントの2週間自粛を要請(詳細)
・国立劇場「2月28日(金)から3月15日(日)まで国立劇場等主催公演を中止」発表
・国立劇場おきなわ、2/28-3/15の主催公演の中止を発表(詳細)
・三月文楽地方公演の中止の発表(その後、4回の追加で各会場の中止を発表)(詳細)
・歌舞伎座2月公演千穐楽(全公演上演)

・京セラドーム大阪で予定されていたEXILEのライブが当日に中止を発表(詳細)
・Perfumeの東京・東京ドーム公演2日目が開場直前に急遽中止に
27 ・歌舞伎座「3月公演3/2-10まで中止」発表(詳細)
・全国の小中高校に臨時休校を要請
28 ・北海道知事、道民に「緊急事態宣言」
・東京都陽性患者数(累計)36人




2020年3月


★第1波★
歌舞伎の公演は、中止。能楽は、流派ごとにばらつきがあり、中旬、下旬あたりまでは、ぱらぱらと上演があった。文楽は、三月地方公演はすべて中止。
歌舞伎座は、当初は初日は2日だったものが、11日、16日、20日と変更が重なり、最終的には全日程で中止。幻の3月公演となるが、20日に無観客で映像収を行った(4月に無料配信)。4月はもともと、歌舞伎座は休場の予定(舞台の修繕)。
4月に新橋演舞場で歌舞伎公演が予定されており、裏方は全体としていつも通りに動いていたが、公演ができるのか不安は多かった。

落語界は真打昇進披露興行などで盛り上がる時期だが、東京の寄席も休演を発表。沖縄の組踊、琉球舞踊は、国立劇場おきなわでの公演については、3/15以降は国立劇場おきなわの主催公演、貸劇場公演でいくつか上演されたものがあった。雅楽もほとんどの公演が中止や非公開となる。宮内庁の楽師は自宅待機、民間の活動も大きな打撃を受けている。
全国各地の郷土芸能は、中止されたものが膨大にあるが、鹿児島の 疱瘡踊りなど「疫病退散」として奉納されるものもあったようだ。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・能楽協会、主催公演の中止(3/1-5/17)
2 ★歌舞伎座 初日予定(本来の初日)→3/11に延期
6 ・3月文楽地方公演(3/6-21)全日程で中止
10 ・首相、「今後概ね10日間程度はこれまでの取組を継続いただくよう御協力をお願い」(詳細)
11 ★歌舞伎座 初日予定(1回目の変更の初日)→3/16に延期
12 ・WHO「パンデミック」認定
14 ・東京都感染者数、初めて2桁に(10人)
16 ★歌舞伎座 初日予定(2回目の変更の初日)→3/20に延期
17 ・国立系劇場、3/31まで主催公演の中止発表
18 ・歌舞伎座、新橋演舞場、大阪松竹座、南座での3月全公演中止を発表(詳細)
20 ・首相、「専門家会議から大規模イベント等について、主催者がリスクを判断して慎重な対応が求められるとの見解が示された」(詳細)
★歌舞伎座 初日予定(3回目の変更の初日)→公演中止/無観客で映像収録
21 ・国立劇場おきなわ、企画公演の新作組踊を上演(詳細)
23 ・歌舞伎、公文協全公演中止を発表(詳細)
24 ・五輪延期で合意
25 ・小池東京都知事、週末の不要不急の外出を自粛要請
・国立系劇場、4/12まで主催公演中止を発表(詳細)
・東京新聞主催「第77回全国舞踊コンクール」中止(3/25-4/6)
26 ・落語協会が鈴本演芸場、浅草演芸ホール、池袋演芸場の4/28、29の公演中止を発表(詳細)
・落語芸術協会が新宿末広亭の4/28、29の公演中止を発表(詳細)
30 ・新橋演舞場、4月歌舞伎公演、4/3-14の公演中止を発表(詳細)
・志村けんさん死去の報
・東京都陽性患者数(累計)171人




2020年4月


★第1波★
4月の上旬くらいまでは、歌舞伎の裏方も現場で働いたり、一部はテレワークを初めて実施するなどしていたが、東京都に緊急事態宣言が発令されてから、多くが自宅待機となる。松竹系の歌舞伎公演は、6月まですべて中止(詳細)
歌舞伎において決定的だったのが、7日の團十郎襲名公演延期発表。5月、6月、7月の3ヶ月にわたって歌舞伎座で行われるはずだった大きな公演がすべて中止となり、裏方たちの気持ちの支えが崩壊した。

能楽の公演も、3月までは少しはあったが、4月はほとんど中止か延期。文楽の大阪公演も中止となった。沖縄の組踊、琉球舞踊については、国立劇場おきなわでの公演は、すべて中止や延期。雅楽は、毎年春に行われている宮内庁の春季雅楽演奏会(招待客のみ)も行われなかった。
上旬くらいまでは、しばらくたてば再開できるのではないかという雰囲気だったが、中旬ごろにかけて、連日、公演中止のニュースが続き、夏前くらいまでの中止が多くなる。こうした状況から、「長期化」するであろうと予測をたてはじめる人が多くなる。

能楽師などは、スカイプやzoomなどオンラインツールを使って、素人弟子の稽古をはじめる人もでてくる。裏方、職人たちも、いつもの取引先からの発注が次第に途絶えはじめ、後半あたりから深刻さが増してくる。
日本舞踊については、家元主催のおさらい会や、個人のリサイタル、お温習い会などの多くが延期や中止している。
公演については中止のニュースばかりだったが、4/30には歌舞伎の地方巡業のニュースが発表された。
郷土芸能では、唯一感染者が出ていない岩手県では、大乗神楽(岩手北上)各団体疫病退散の舞奉納、金津流石関獅子躍(岩手江刺)熊野神社例祭奉納などが行われている。

4月の訪日外国人旅行者数は2900人で、前年同月比99.9%減少。統計をとりはじめた1964年以降で過去最少だった。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・「都をどり」(祇園甲部歌舞会 4/1-27)中止(詳細)
3 ・国立系劇場、4/30まで主催公演の中止発表
4 ・東京都の一日の感染者数が初めて100を超(116人)
・4月文楽公演(大阪)、4/4-26まで全日程で公演中止
7 ★東京に緊急事態宣言が発令
★初(1回目)の国の「緊急事態宣言」が出される。首都圏、大阪府など7都府県を対象
・歌舞伎座、5月からの團十郎襲名公演延期発表(詳細)
・4月新橋演舞場全公演中止発表(詳細)
9 ・国立能楽堂の5月公演の前売りが開始されるが、翌10日には公演中止の発表
10 ・東京都、休業要請の対象施設を公表
・国立系劇場、5/31までの主催公演の中止発表
16 ★全国に「緊急事態宣言」
17 ・東京都陽性患者数(日別)201人(1日の数としては、それまでで最高)
18 ・「世界無形文化遺産フェスティバル2020」中止(4/18-19)(詳細)
19 ・全国各地の鬼剣舞保存会が「疫病退散の舞」を奉納(詳細)
20 ・「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」令和2年4月2 日閣議決定/抜粋(文化庁HP)
・歌舞伎座の向かいの老舗弁当店「木挽町辨松」廃業
・京都祇園祭の山鉾巡行(毎年7月)中止を発表
22 ・四天王寺(大阪)聖霊会の舞楽が非公開となる
23 ・岡江久美子さん死去の報
24 ・国立系劇場、6/30までの主催公演の中止発表(詳細)
・国立劇場おきなわ、6月主催公演のチケット発売日延長を発表(詳細)
・内子座文楽第24回公演(愛媛県 8/22-23)の中止発表
27 ・「緊急事態舞台芸術ネットワーク」キックオフ会合開催(『ロスト・イン・パンデミック』P45より)(団体HP)
28 ・国立劇場主催公演「明日をになう新進の舞踊・邦楽鑑賞会」中止
・東京都の芸術文化支援策「アートにエールを!東京プロジェクト」応募要領発表(詳細)
30 ・令和2年度補正予算案等における文化芸術関係者への支援(文化庁HP)
・歌舞伎の巡業公演「松竹大歌舞伎」中央コース(8/31-9/25)の公演情報が発表される(詳細)→5/26に中止の発表
・大蔵流狂言方の善竹富太郎さん死去(享年40歳)

・東京都陽性患者数(累計)4,274人

*4月28日現在の「2020年度文楽公演スケジュール」(文楽協会WEBサイトより転載)
*4月29日現在の「落語芸術協会公演スケジュール」(落語芸術協会WEBサイトより転載)

*4月29日現在の「新宿末廣亭の公演スケジュール」(新宿末廣亭WEBサイトより転載)



2020年5月

2020.5.15の世界の感染状況・アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のウエブサイト(クリックすると大きくなります)


★第1波★
月初の大型連休は、例年だと帰省ラッシュなどがおこるが、高速道路、新幹線、飛行機などガラガラ。伝統芸能の活動も、ほぼ皆無。
歌舞伎座周辺の飲食店は、休業中のところも多くあり、なかには廃業したところもあった。月のはじめの頃は、中止などの情報にも慣れっこになっており、氷の冬といった雰囲気。
能の観世流の公演も多くが中止に追い込まれている(2020.5.7現在の「観世能楽堂公演ご案内(5月)」
こうした能の公演の中止は、能装束を作る職人にも経済的な打撃を与えている。能装束の発注は3月ごろから減り始め、4月にはほとんど新規発注が行われない状態にまで悪化。ある織場は、大型連休明けから生産調整をせざるをえない状況に追い込まれた。

7日は、1ヶ月ぶりに全国感染者数が100人を下回った。いつもは多くの買い物客で賑わう歌舞伎座地下のお土産広場は、一部のコンビニを除いて休業していたが(ガランとした寂しい空間)、8日からは飲食店が営業を再開するなど、少し明るい情報も入ってきた。公演などなにもかもが中止ばかりのなか、劇場付随の飲食店が営業を開始したことですら、大きな希望になるという状態にある。

10日前後から、感染者が少ない地域では美術館や映画館が再開するというニュースもきかれるようになった。これまで、ずっと暗いニュースが続き、下へ下へと落ちていく感じだったが、初めて少し上向きの兆しが見られる。中旬ごろから、品薄だったマスクもスーパーなどの店頭でも見かけられるようになってきた。

20日ごろから、劇場や演劇界なども再開に向けての動きがみられるようになり、徐々にガイドラインなどが作成されてきた。しかし、座席の間隔を空ける必要があり、興行収入に大きな打撃を与えることが予想されている。このあたりをどうクリアしていくかが、課題となりそうである。

中旬頃からは、企業の経営破綻のニュースが聞こえてきたが、芸能の道具の世界でも、会社の経営が危ぶまれる情報もきかれるようになる。三味線の製造、修理の国内大手メーカー「東京和楽器」が廃業するというニュースも報じられた。(詳細)

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
2 ・明治神宮春の大祭の伝統芸能の奉納自粛(詳細)
3 ・「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 五月大歌舞伎」(5/3-27)延期(詳細)
4 ★6日に期限を迎える「緊急事態宣言」を5/31まで延期と発表(全国対象)
7 ・能の喜多流、令和2年度自主公演の1年延期を発表(詳細)
・能装束製作の佐々木能衣装、新規注文の減少により、週2日勤務に縮小

・全国感染者数が1ヶ月ぶりに100人を下回る。
・東京都陽性患者数(1日)23人(累計は4,771人)
8 ・歌舞伎座地下2階の「歌舞伎茶屋」が営業再開
9 ・文楽、5月東京公演(5/9-25)中止(東銀座駅の公演ポスター)
・関西で一部の美術館が再開
11 ・全国的に気温が上昇。甲府市で33・4度
・一部地域で、学校再開
13 ・国立劇場おきなわ、臨時休館終了(詳細)
・28歳の力士、コロナで死去
・東京都の新規感染者数は10人
14 ・「緊急事態舞台芸術ネットワーク」のHPが開設される(歌舞伎の興行主である松竹をはじめ、これまででは考えられない団体が連帯していた)(URL)
・全国公立文化施設協会が「劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を発表(詳細)
★緊急事態宣言、39県で解除。北海道、東京、神奈川、埼玉、千葉、京都、大阪、兵庫の8都道府県は「特定警戒」に据え置き
15 ・レナウンが民事再生法の適用を申請
17 ・東京都陽性患者数(日別)5人(1ヶ月前は、201人)
・大阪府陽性患者数(日別)0人(新規感染者がゼロとなったのは3/9以来)
18 ・毎年5月開催の浅草神社例大祭(三社祭)が10月に延期(延期奉告祭が行われる)(詳細)
20 ・夏の甲子園、中止の発表(詳細)
21 ★緊急事態宣言、大阪、京都、兵庫の3府県で解除。東京、神奈川、埼玉、千葉と北海道は解除は見送り
・「文化芸術復興創造基金」、「くろごちゃんファンド(国立劇場基金)」創設(詳細)
22 ・東京都「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」を発表。休業要請の緩和のステップ(施設別)では「劇場」は、ステップ2に位置づけられる。(詳細)
・映画と演劇、音楽の3業界団体が政府に文化・芸術への支援を求める統一要望書を提出(「We Need Culture 文化芸術復興基金をつくろう」プロジェクト(詳細)
・劇団四季が新劇場オープン延期を発表
23 ・国立劇場主催公演「言葉~ひびく~身体Ⅱ 今を生きるー現前する舞と生ー」中止
・「第九十六回東をどり」(新橋演舞場 5/23-26)中止
24 ・東京国立博物館の特別展「体感!日本の伝統芸能―歌舞伎・文楽・能楽・雅楽・組踊の世界―」会期は3/10-5/24の予定だったが開幕しないまま終了(詳細)
25 ★緊急事態宣言、全面解除(北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川の解除)
・プロ野球開幕、6月19日に決定
・国立系劇場、主催公演等中止の発表(詳細)

・延期、中止したコンサート、演劇、歌舞伎、あらためて開催する場合に、その費用2分の1を、上限5,000万円で政府支援と発表
26 ・公文協主催「松竹大歌舞伎」中央コース、全公演(8/31-9/25)中止を発表(詳細)
・日本芸術文化振興会が「新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を発表(詳細)
27 ・文化芸術活動への緊急総合支援パッケージ(令和2年度2次補正予算案)を発表(詳細)
28 ・日本俳優協会と伝統歌舞伎保存会がYouTubeチャンネル「歌舞伎ましょう」を開設(詳細)
29 ・東京都の新規感染者数、22人。15日ぶりに20人超える
・北九州市、新たに26人感染
・国立劇場チケット売場、6月15日から営業再開発表(詳細)
30 ・6月1日から寄席再開の発表
31 ・東京都陽性患者数(日別)5人(詳細)




2020年6月



★第1波★
【上旬】
1日から、東京都内も学校への登校や、文化施設の再開がはじまる。これまで止まっていたものが、少しずつ動き始めた雰囲気。東京都は「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」に基づき、段階的に自粛・休業等の緩和を進めているが、6月1日よりSTEP2に移行。学習塾、劇場、スポーツジム等の休業要請が緩和される。
しかし、芸能の世界は、まだまだ冬眠状態。特に道具を作る職人は、先行きが見えず、経済的な不安を抱えて過ごしている。


【中旬】
10日あたりから、日常の生活がコロナ禍以前にだんだん近づいていく感じがしてくる。都心のまちも人が多くなる。
能楽については、国立能楽堂の主催公演が7月から再開されることや、他の公演の上演予定が発表されるようになる。歌舞伎については、歌舞伎座の公演がひとつの潮目になりそうだが、まだ予定が発表されておらず、ぼんやりとした状況。東京都ではこのまま感染拡大が落ち着いて、いったんは劇場公演が上演されるようになるのか、再び感染者数が増えて逆戻りになるのか、まだ油断ができない雰囲気。


【下旬】
銀座などのまちも、かなり人が増えてきた。しかし、いったん収まっていた東京の新規感染者数が、じわじわと増え始める。
歌舞伎では、オンラインの生配信「図夢歌舞伎」が行われたり、6/29には8月の歌舞伎座再開のニュースもあり、少しずつ始動しはじめる。
能楽の定期公演も再開されるものがでてきた。地謡も間隔を開けたり、特製マスクを着用するなど感染防止対策の工夫が行われている。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・「能楽公演 2020 ~新型コロナウイルス終息祈願~」開催の発表(詳細)(プレスリリース)
・「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 六月大歌舞伎」(6/1-25)延期(詳細)
・喜多能楽堂、約2ヶ月ぶりに営業再開(詳細)
・新宿末広亭など3演芸場、寄席再開(落語協会)(落語芸術協会)
・浪曲の寄席木馬亭再開(詳細)

・東京都では、多くの施設で休業要請が緩和されるロードマップの「ステップ2」に移行
・国立科学博物館(上野本館)などいくつかの都内の美術館・博物館が再開
・悪疫退散祈願の花火が全国で打ち上げられる
2 ・東京都陽性患者数(日別)34人。東京アラート発動
5 ・能楽団体・宝生会がストリーミングサービス「能LIFE Online」を開設(詳細)
・伝統芸能情報館など国立系劇場の資料展示室、開室へ
6 ・東京都心の人出、6割~8割程度に戻る
・ウィーン・フィル 、3か月ぶり公演再開。観客数は通常の20分の1以下の100人
9 ・国立能楽堂、7月主催公演再開を発表(詳細)
11 ・東京アラート解除
・東京都陽性患者数(日別)22人
・関東地方、梅雨入り
・東京都内は、ほとんどの人が外出時にマスクを着用(蒸し暑く、マスクが息苦しい)
12 ・東京都、休業要請緩和の「ステップ3」に移行
14 ・東京都陽性患者数(日別)47人
・中国、13日に確認した新規感染者数が57人と発表
15 ・国立劇場チケット売場、営業再開(詳細)
19 ・全国での都道府県をまたぐ移動やプロスポーツの無観客試合などを容認
・東京都、休業要請の全てを解除
20 ・宝生会公演「五雲会」(能・宝生流)再開(詳細)
21 ・第49回正門別会(能・観世流)中止(詳細)
24 ・東京都陽性患者数(日別)55人。久しぶりに50人を超える
27 ・オンライン歌舞伎『図夢歌舞伎 忠臣蔵 大序から三段目』第一回配信(詳細)
28 ・京都観世会6月例会公演(能・観世流)が行われる(詳細)
・義太夫協会法人化50周年記念公演・女流義太夫演奏会6月公演、中止(延期)
・三味線の最大手「東京和楽器」の廃業を東京新聞が一面トップで報じ、大きな反響を呼ぶ(詳細)
29 ・歌舞伎座「八月花形歌舞伎」公演情報発表(詳細)
30 ・シルク・ドゥ・ソレイユ経営破綻の報




2020年7月


国立能楽堂の見所(7/8撮影)

★第2波★
【上旬】
国立系の劇場が動き始める。国立能楽堂の主催公演は2/13を最後に休止していたが、7/8に無事再開。入り口での検温、手指消毒、チケットは各自でもぎる、客席は定員を減らして市松模様、ロビーでの飲食禁止、終演後は席種ごとに順番に退出、ロビーの係の人はフェースガードなど、さまざまな対策がとられていた。
歌舞伎のほうは、オンラインでの生配信「図夢歌舞伎」が毎週土曜日に開催。歌舞伎座の八月公演に向けて、少しずつ始動している。
しかし、東京の感染者数が増えており、7/9は過去最多の224人となり、不安が広がる。


【中旬】
東京の感染者数が、じわじわと増え、一日の感染者数が過去最多と報じられる日が続く。7/17は293人。新宿の「新宿シアターモリエール」でクラスターが発生。観客や出演者、スタッフら計850人が濃厚接触者になり、「劇場クラスター」「演劇クラスター」と批判を浴び、劇場に対する不安が高まる。
能の公演は、7月に入ってから国立能楽堂以外の主催公演も少しずつ再開されている。歌舞伎は「図夢歌舞伎」や「ART歌舞伎」などオンライン配信配信の公演が行われる。8月の歌舞伎座公演の準備も進められ、不安を抱えながらも進んでいる状況。裏方や職人は、まだまだ仕事が少ない状況だが、公演が再開されるということはなによりの希望。「このまま無事に芝居の幕が開いて欲しい」という声が多い。


【下旬】
野球やサッカー、大相撲など、観客を入れての開催がはじまる。しかし全国的に感染者数が増えていき、東京の一日の感染者数も300人を越えている。7/27から10日間にわたって行われる「能楽公演2020 ~新型コロナウイルス終息祈願~」も開催。歌舞伎座は、8月公演に向けての準備が粛々と進められている。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 七月大歌舞伎」(7/1-20)延期(詳細)
・東京ディズニーランド、東京ディズニーシー再開
2 ・東京都陽性患者数(日別)107人。2ヶ月ぶりに100人を超える
3 ・東京都陽性患者数(日別)124人
・国立劇場、主催公演再開を発表(詳細)
・三味線の最大手「東京和楽器」の廃業の第二報を東京新聞が掲載(詳細)
4 ・オンライン歌舞伎『図夢歌舞伎 忠臣蔵 四段目』第二回配信(詳細)
8 ・国立能楽堂が主催公演を再開(詳細)
9 ・東京都陽性患者数(日別)224人。1日あたりの人数では4/17の206人を上回り、過去最多
・7/3より続いている豪雨を「令和2年7月豪雨」と命名。九州などで甚大な被害
11 ・国立劇場おきなわが主催公演を再開(詳細)
・オンライン歌舞伎『図夢歌舞伎 忠臣蔵 五・六段目』第三回配信(詳細)
12 ・ART歌舞伎がオンラインで生配信される(詳細)
14 ・劇団四季の公演再開(詳細)
16 ・御園座「錦秋御園座歌舞伎」(10/3-18)の公演情報が発表される(詳細)
17 ・宝塚大劇場(兵庫県)での公演再開(詳細)
18 ・オンライン歌舞伎『図夢歌舞伎 忠臣蔵 七段目』第四回配信(詳細)
・国立文楽劇場「夏休み文楽特別公演」(7/18-28)中止
19 ・大相撲7月場所開催。会場を名古屋市から東京・国技館に変更し、収容人数の4分の1程度となる、およそ2500人の観客を入れて開催。観客を入れて開催されるのは、今年1月の初場所以来
21 ・劇団四季、所属俳優に感染者が出たため21日、22日公演中止。23日から再開(KAAT神奈川芸術劇場)(詳細)
22 ・Go To Travelキャンペーン、開始
23 ・東京都陽性患者数(日別)366人。1日あたりの人数では過去最多
25 ・オンライン歌舞伎『図夢歌舞伎 忠臣蔵 九・十一段目』第五回(完)配信(詳細)
・毎年広島で開催される「高校生の神楽甲子園」(7/25、26)中止(詳細)
27 ・能楽公演2020 ~新型コロナウイルス終息祈願~がはじまる(8/7までの10日間、国立能楽堂)(詳細)
29 ・全国で新たに1002人の感染確認。1日1000人超は初
31 ・沖縄県緊急事態宣言、発出(詳細)
・東京宝塚劇場、営業再開(詳細)




2020年8月


歌舞伎座八月公演初日(8/1撮影)


★第2波★
【上旬】
3月から休演していた歌舞伎座が、1日から再開。舞台裏も、人数も最小限とされ、これまでとは全く違う雰囲気。感染者数が増えていくなかで、不安を抱えながらの幕開きになった。初日は、感染防止のために客席がかなり減らされていたにもかかわらず、大きくな拍手が鳴り響き、特別な雰囲気に包まれた。5日には、三部の公演が中止となったが、その後は公演が続いている状態。裏方たちも、楽屋内にとどまる時間を厳しく制限されながら、仕事をしている。
「能楽公演2020 ~新型コロナウイルス終息祈願」も、10日間の日程を無事に終了。しかし、まだまだ公演数はかなり少ない状況。
沖縄では感染が拡大していることを受け、8/1に沖縄県緊急事態宣言が出され、国立劇場おきなわの公演に影響が出る。


【中旬】
文楽は、国立系の劇場の再開に先立つような形で、渋谷のパルコ劇場の三谷文楽『其礼成心中』がはじまる。
歌舞伎座の公演は、上旬に一度中止したものの、その後は継続されている。昨年まではニコニコ超会議でリアルに行っていた「超歌舞伎」が、無観客で生配信(無料)された。これまでの積み重ねもあり、ネット上でニコニコユーザーと歌舞伎ファンがともに盛り上がりをみせた。


【下旬】
歌舞伎座の8月公演が千穐楽を迎える。公演中止が1日あったが、その後はなんとか上演が続けられた。舞台関係者の緊張は尋常なものではなく、大道具などの裏方も、各部の完全入れ替え制で緊張が続いた。いつもとは全く異なる雰囲気だった。千穐楽には、俳優や裏方などが、いっせいに歌舞伎座の建物にあげられた「本日千穐楽」の懸垂幕の写真をアップ。それだけ、千穐楽を迎えられたことに喜びを感じる公演となった。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・歌舞伎座、五ヶ月ぶりの公演「八月花形歌舞伎」(8/1-26)初日。4部制、各部総入れ替え、幕間なし、1演目。大向う禁止。客席数は半分以下(詳細)
・東京都陽性患者数(日別)472人。1日あたりの人数では過去最多
・沖縄県緊急事態宣言が出される(詳細)
3 ・国立劇場小劇場「8月文楽公演」(8/3-9)中止
・国立劇場おきなわの主催公演の中止が発表される(詳細)

・宝塚大劇場公演、公演関係者の体調不良により8/3-4の公演中止(詳細)
5 ・歌舞伎座、第三部『吉野山』舞台関係者1名に微熱の症状が確認されたため公演中止(詳細)
7 ・東京宝塚劇場、公演関係者に陽性反応者が確認され公演中止(詳細)
12 ・国立文楽劇場のWebサイトに「演者の飛沫飛散の実験」の検証結果が掲載される(詳細)
13 ・三谷文楽『其礼成心中』(PARCO劇場 8/13-20)(公演詳細)(劇場の取り組み詳細)
・沖縄県緊急事態宣言の延長が発表される(8/29まで)
14 ・国立劇場おきなわ主催公演の中止が発表される(9/20まで)(詳細)
15 ・第26回稚魚の会・歌舞伎会合同公演、開催(国立劇場 東京 8/15-19)(詳細)
16 ・超歌舞伎『夏祭版 今昔饗宴千本桜』がネットで生配信される(詳細)
18 ・国立劇場「お客様へのお願い・感染症対策への取り組み」(詳細)
19 ・国立文楽劇場(大阪)の秋公演が発表される(詳細)
・大阪松竹座「十月花形歌舞伎」『GOEMON 石川五右衛門』全公演日程中止が発表される(詳細)
・能装束製作の佐々木能衣装、新規注文の減少により、5月から週2日勤務に縮小していたが1日増やして、週3日の勤務に
21 ・VR能「攻殻機動隊」(世田谷パブリックシアター 8/21-23 5回公演)
22 ・内子座文楽第24回公演(愛媛県 8/22、23)中止(詳細)
26 ・歌舞伎座「八月花形歌舞伎」千穐楽をむかえる(8/1-26)
・松竹、歌舞伎の公式有料動画配信サービス「歌舞伎オンデマンド」を開始(詳細)
27 ・国立劇場による歌舞伎入門動画『松本幸四郎の歌舞伎を知ろう』[新制作] 第1回インターネット配信 「歌舞伎役者は神出鬼没」~舞台と大道具~(配信期間 8/27-9/26)(詳細)
28 ・安倍首相辞任会見
・雇用調整助成金(厚生労働省)の特例措置の期限を9月末から12月末へ延長と発表
31 ・東京都陽性患者数(日別)100人、(累計)20,817人




2020年9月


(国立劇場文楽公演の駅貼りポスター@東銀座駅)

★第2波★
【前半】
コロナ感染は、世界で2640万人となり欧州で再び増加目立つようになる。日本は、感染者数が減ってはいないが、次第に人々が慣れてきている雰囲気。銀座のまちも、人出が多くなっている。
歌舞伎座9月公演の初日の幕が無事に開く。8月同様に異例の4部制。人間国宝の中村吉右衛門や坂東玉三郎も出演。
文楽は、9/5に国立劇場にて本興行が再開するも、初日の第二部から中止に(9/7から再開)。能楽の公演は、定期公演などが再開される流儀が多くなってきた(観世流梅若会定式能はまだ開催されていない)。


【後半】
東京都の感染者数は、100-200人台で減っている感じはしないが、だんだん感染への緊張感がゆるんできている印象。9/19-22の四連休は、飛行機、新幹線なども久しぶりに多くの人で混み合う状態に。高速道路の渋滞も伝えられた。
しかし、歌舞伎座などの劇場は依然として緊張が続いている。
沖縄では、国立劇場おきなわで、9/26に約2カ月ぶりの自主公演が開催される。
また、イベントやエンターテインメント事業を支援する「Go Toイベント」が、来月中旬以降に開始するとの政府の方針が発表される。利用者はチケットを20%安く購入できたり、チケット代の20%に相当するグッズなどを購入できるクーポンを受け取ったりできるほか、無観客のライブ配信など、新型コロナウイルスに対応した新たな形式のイベントも対象に含まれる。
少しずつ、伝統芸能にとって後押しになる枠組みが出てくるが、観客のほうがどのくらい劇場に戻ってくるのか、まだまだ不安が多い。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・歌舞伎座「九月大歌舞伎」(9/1-26 4部制、各部総入れ替え、幕間なし、1演目)(詳細)
2 ・論座の記事「老舗三味線メーカー廃業の危機、音楽界への衝撃」(前原恵美)公開(記事)
5 ・文楽公演、再開の初日。しかし、舞台スタッフに微熱の人がいたため第二部から中止に。(国立劇場 9/5-22)*9/7から再開(詳細)
6 ・国立劇場おきなわ、劇場の利用が可能となる(詳細)
11 ・市川海老蔵による歌舞伎舞踊公演「古典への誘い」が熊本・八千代座からスタート。その後、岡山、広島など、各地で上演(10/29まで)(詳細)
15 ・東京都23区の飲食店の時短要請、終了
16 ・菅内閣、発足
19 ・イベントの人数制限緩和(11月末まで運用)。大規模イベントは、観客を5000人までに制限されていたが、収容人数の50%まで観客が入れる。1万人以下のイベントでは、クラシックコンサートなど客が大声を出さないものは満席とすることも可能。
・19~22日の4連休。高速道路や航空も、閑散としていたお盆時期とは打って変わって大混雑
25 ・東京文化財研究所主催シンポジウム「シリーズ 無形文化遺産と新型コロナウイルス フォーラム1 伝統芸能と新型コロナウイルス」開催
26 ・国立劇場おきなわ主催 組踊公演「花売の縁」(詳細)
27 ・明石の大衆演劇場で、集団感染
28 ・富士山、初冠雪(平年より2日早く、昨年より24日早い観測)




2020年10月




★第2波★
【前半】
気候もようやく、涼しくなる。東京都も「GoToトラベル」に追加されて、浅草や銀座なども、人出が多くなってきた。劇場公演については、座席を左右1席空けず通常通りの販売をはじめるところもでてきた。
歌舞伎座公演関係者も、初日数日前にPCR検査を受けることが恒例となっている。公演再開して3ヶ月目となり、少しずつイレギュラーな働き方にも慣れてきたところもある。


【後半】
毎日の新規感染者数も、以前ほどニュースで大きくとりあげられなくなる。日々の生活も、少しずつゆるみはじめてきたが、まだ外出時にはマスクは必ずしなければならないという雰囲気。1ヶ月後がどのような状況になっているのか、まったく読めない。
欧州で「第2波」が深刻化するなど、海外での感染拡大のニュースも多く聞かれるようになり、ボリショイ劇場で働くダンサーや技師など124人が感染したことも報じられた。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・政府の観光支援策「GoToトラベル」事業で除外されている東京都を補助対象に追加
・入国制限措置、全世界を対象に制限を緩和
・東京都陽性患者数(日別)235人
・能装束の現場の苦境について伝える、論座の記事「伝統芸能の裏側に深刻なコロナショック」(田村民子)公開(記事)
2 ・歌舞伎座「十月大歌舞伎」(10/2-27  4部制、各部総入れ替え、幕間なし、1演目)(詳細)
3 ・十月花形歌舞伎(松竹座 大阪 10/3-27)中止(詳細)
・錦秋御園座歌舞伎(御園座 名古屋 10/3-18)(詳細)

・トランプ大統領夫妻、新型コロナ陽性
4 ・10月歌舞伎公演(国立劇場 東京 二部制 幕間あり 10/4-27)(詳細)
・ファッションデザイナーの高田賢三氏、新型コロナウイルスの合併症により逝去
5 ・文楽、地方公演(巡業)初日 札幌市教育文化会館(広島、郡山、長野、名古屋は中止)(詳細)
・宝塚歌劇公演の日程が発表される(初日延期や、『タカラヅカスペシャル 2020』実施見合わせ、左右1席を空けず通常通りの販売などを含む)(詳細)
7 ・大阪松竹座「壽初春大歌舞伎」中止の発表(詳細)
・浅草公会堂「新春浅草歌舞伎」中止の発表(詳細)
10 ・劇団四季「アラジン」、俳優ら10人感染。公演は10日から中止、キャストを入れ替えるなどし15日に再開
・ニューヨーク・ブロードウェイのミュージカルは、来年の年明けまでとしていた休演期間を、来年5月末まで延長すると発表
15 ・「GOEMON抄」(松竹座 大阪 10/15-18)(詳細)
・松竹の令和2年8月中間連結決算は最終損益が94億円の赤字(前年同期は20億円の黒字)。新型コロナウイルスの感染拡大で、歌舞伎座の公演中止が続いたりしたことが影響(詳細)
16 ・「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」公開
17 ・「第2波」の到来を受け、イタリアのミラノ・スカラ座が、今年12月以降の公演日程の発表を延期
・浅草神社例大祭「三社祭」斎行(17日、18日の二日間。例年は5月)
20 ・「システィーナ歌舞伎」(大塚国際美術館・徳島)の令和3(2021)年公演、開催見合わせを発表(詳細)
・NHK「クローズアップ現代+」にて三味線製造メーカー・東京和楽器の苦境が伝えられる。(詳細)
23 ・「都内観光促進事業」(もっと楽しもう!TokyoTokyo)販売開始(詳細)
29 ・国内の感染者10万人超す
31 ・錦秋文楽公演(国立文楽劇場 大阪 10/31-11/23 三部制)(詳細)




2020年11月


11月歌舞伎座公演・座席表(クリックすると大きくなります)


★第2波★
【前半】
感染者数は、不気味に横ばいを続けているが、人の移動はだんだん多くなりつつある。11/3の文化の日も、東京都内も多くの人がまちに出ていた。映画『鬼滅の刃』がブームに。
一方、劇場のお客の入りは、まだまだ戻ってきていない感じがある。歌舞伎座の客席も、市松模様のままで、完売には至らず、空席が目立つ。


【後半】
11月の中盤から、また感染拡大の不安が大きくなる(社会の気分も、変わってきた)。
気温も湿度も下がりはじめたせいか、感染者数がぐっと増えてくる。一日の感染者の数字も、また気になり始めるようになり「このままいくと、また公演中止になるのではないか…」という不安が頭をよぎるようになる。
実際、国立劇場の歌舞伎公演で俳優の感染が確認されて公演が中止になるなど、具体的な影響が出始める。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」(11/1-26 4部制、各部総入れ替え、幕間なし、1演目)(詳細)
2 ・国立劇場「令和2年11月歌舞伎公演」(11/2-25 2部制)(詳細)
・ドイツでは、感染拡大を抑えるため劇場や飲食店などの閉鎖が始まる
7 ・雅楽公演『管絃 王朝の遊び』(国立劇場 東京)(詳細)
8 ・「大相撲十一月場所」(11/8-22 両国国技館)、約5000人のお客様を迎えた開催に
9 ・政府分科会「急速な感染拡大の可能性」緊急提言
・アメリカの大統領選挙、民主党バイデン氏の当選確実に
11 ・市川海老蔵特別公演(博多座 福岡 11/11-25)(詳細)
・東京都の新規感染者数が8月以来はじめて300人を超える。各地でも過去最多の感染者数を更新。日本医師会が「第3波と考えてよい」と警告
12 ・歌舞伎俳優の坂田藤十郎さんが老衰のため逝去
16 ・シアタークリエ『RENT』、出演中のキャストに陽性者が確認され公演中止に(詳細)
17 ・札幌市、警戒ステージ4に引き上げで事実上の外出自粛要請へ
18 ・全国のコロナ新規感染、初の2千人超え。東京都は過去最多となる493人が確認される
19 ・東京都の新規感染者数は、初めて500人を越えて534人。都独自の警戒度を、4段階で最も深刻な「感染が拡大している」へと2カ月ぶりに引き上げた
21 ・舞踊公演「舞の会―京阪の座敷舞―」(国立劇場 東京)(詳細)
・政府、新規感染者数が過去最多を更新している状況を踏まえ「GoToキャンペーン」の運用を一部見直す方針を決める
22 ・国立劇場の歌舞伎公演。第二部の出演者である片岡孝太郎丈に陽性反応が確認される。第二部は25日の千穐楽まで中止。第一部は予定通り上演(詳細)
26 ・首相、「この3週間が極めて重要な時期」として、感染防止対策を徹底するよう国民に協力を呼びかける
28 ・東京都、酒類を提供する飲食店やカラオケ店に対し、午後10時までの時短営業を要請(12月17日までの20日間。島嶼部以外の都内全域を対象)




2020年12月


★第3波★
【前半】
第三波で感染者数が日に日に増加。伝統芸能の公演は、基本的には再開スタイル(いつもとは異なるスタイル=客席を千鳥、観客の体温チェックなど)で続けられているが、12/7には文楽公演で出演者に陽性が確認されて中止になるなど、具体的な影響が出始めている。
感染拡大が広がっていることから、14日にはGoToトラベル全国で一時停止(12月28日~1月11日)が発表され、緊迫感が高まる。
京都の南座では顔見世興行がはじまったが、冒頭から俳優のコロナ感染の余波で代役があった。また名物の「総見」も祇園甲部芸舞妓のコロナ感染により、劇場運営に影響が及んだ。


【後半】
「GoTo トラベル」が全国で一時停止されるなど、だんだん不安が広がる。東京都の新規感染者数も大きく増え始め、大晦日にはついに1000人を越える。冬場は、感染拡大すると以前から言われていたが、やはりそうなのか〜という気持ちが強くなる。お正月が近づいても、おめでたい気分にもあまりなれず、いつもとは全く異なる年末年始。


日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・歌舞伎座「十二月大歌舞伎」(東京 12/1-26  4部制、各部総入れ替え、幕間なし、1演目)(詳細)*坂東玉三郎丈が新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者と認定されたため、1日から7日まで代役にて上演
・「GoToトラベル」の東京発着の旅行について、重症化リスクの高い65歳以上の高齢者や基礎疾患のある人を対象に利用自粛(12/17まで)
3 ・国立劇場「12月歌舞伎公演」(12/3-26 二部制)(詳細)
・12月文楽公演(国立劇場 東京 12/3-15)(詳細)
5 ・南座「當る丑歳 吉例顔見世興行」(京都 3部制 各部2演目 12/5-19*例年の半分)(詳細)*片岡仁左衛門丈が新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者と認定されたため、5日・6日の2日間休演。片岡孝太郎丈は、新型コロナウイルス感染症罹患のため、当面の間休演
7 ・12月文楽公演(国立劇場)第二部に出演の鶴澤清馗に新型コロナウイルスの陽性反応が確認されたため、第二部中止(詳細)
8 ・12月文楽公演(国立劇場)、12月8日以降の文楽公演第一部・第二部および文楽鑑賞教室は上演。陽性反応が確認された鶴澤清馗と、その濃厚接触者に認定された豊竹咲寿太夫は、当面出演を休止(詳細)
10 ・東京都の新規感染者数が、初めて600人を超えて、602人に。
11 ・広島県の新規感染者数が、初めて100人を超えて112人になるなど、地方でも感染が広がる。
・京都の芸舞妓がコロナ感染、祇園甲部のお茶屋54軒が12/20まで休業決定
14 ・12月28日から1月11日まで「GoTo トラベル」全国で一時停止すると、首相が方針転換を発表。27日までは、札幌、大阪両市に加え、東京都、名古屋市を目的地とする旅行を事業の対象から外されることに
東京都は12月17日までとしている酒類提供の飲食店やカラオケ店に対する午後10時閉店の短縮要請を来年1月11日を軸に延長
・2020年の世相を表す「今年の漢字」は、「密」
17 ・東京都の新規感染者数が、822人に。過去最多を大幅に更新
20 ・「中之島文楽」の出演予定者に陽性反応が確認されたため公演中止(12/20-21)(詳細)
21 ・日本医師会など医療9団体が「医療緊急事態宣言」を発表(詳細)
26 ・東京都の新規感染者数、949人(過去最高)
27 ・立憲民主党の羽田雄一郎参院議員、新型コロナ感染のため逝去
28 ・「GoTo トラベル」全国で一時停止(1月11日まで)
31 ・東京都の新規感染者数、1337人(過去最高)




2021年1月


★第3波★
【前半】
東京は大晦日の初の1000人超えの感染者数に精神的ショックを受け、空気が一変してくる。これに加えて、1月7日の国の緊急事態宣言で、具体的に公演にも影響が出てきた。夜の8時を過ぎる公演については、急遽見直しして、開演時間を早めて8時を越えないようにするなど、各ジャンルからさまざまな変更についての情報が発せられた。公演の延期、中止なども。一回目の緊急事態宣言と比べると、急ブレーキといった感じではないが、やはり不安の声が多くきかれる。


【後半】
社会では、変異株やワクチンの話題が多くなる。伝統芸能の世界は、前半とほぼ変わらないような状況。歌舞伎座の1月公演は、途中で中止もなく、無事に千穐楽をむかえる。
東京都の感染者数は、少しずつ数は減ってきているが、医療機関は崖っぷちの状況で、その様子がメディアでさかんに伝えられている。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・京都観世会の『謡初式』が、無観客・動画ライブ配信で行われる(YouTube)
・九州の演能の拠点のひとつ大濠公園能楽堂(福岡県)、天井の耐震改修工事のため1年間休館(2021年12月31日まで)(詳細)
2 ・歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」(1/2-27 三部制 各部総入れ替え、幕間あり、2演目)(詳細)
・「坂東玉三郎 初春特別舞踊公演」(大阪松竹座 大阪 1/2-19)(詳細)

・感染拡大の深刻化を受け、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の知事が国に緊急事態宣言を発令するよう要望
3 ・「初春海老蔵歌舞伎」(新橋演舞場 東京 1/3-17 三部制)(詳細)
・国立劇場「初春歌舞伎公演『四天王御江戸鏑』」(東京 1/3-27)(詳細)(座席表・市松模様)
・「初春文楽公演」(国立文楽劇場 大阪 1/3-24)(詳細)
5 ・緊急事態宣言、7日に決定へ
・東京都の新規感染者数、1278人(過去2番目に多い数値)
・横綱白鵬の陽性判明
6 ・東京都の新規感染者数、1591人(過去最多)
7 ・能楽団体「宝生会」が緊急事態宣言への対応を発表(詳細)
・東京都の新規感染者数、2447人(過去最多)
8 ★東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に国の二度目の「緊急事態宣言」(1月8日~2月7日)
・1月歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」1/11より第三部の開演時間の繰り上げが発表される(詳細)
・2月文楽公演の開演時間の繰り上げが発表される(詳細)
・新宿末廣亭は、出演者の持ち時間短縮を調整し20時終演に変更
9 ・歌舞伎座「二月大歌舞伎」開演時間の繰り上げが発表される(詳細)
・国立能楽堂1月・2月の夜公演の開演時間の繰り上げが発表される(詳細)
・喜多流の「第16回若者能」延期(詳細)

・日本相撲協会は、新型コロナウイルス陽性者、および濃厚接触の可能性があるとして、九重部屋、友綱部屋、宮城野部屋、荒汐部屋の全力士が大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を全休すると発表。4部屋で計65人
11 ・コロナ禍の成人式:コロナ感染拡大のため、政府および東京都から「成人式のオンライン化または延期」の要請が出されたことをうけ、会場集合の中止やオンラインでの開催が多くなる
13 ★国の緊急事態宣言の対象区域に、大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、福岡、栃木の7府県を追加し、対象区域を11都府県に拡大。期間は発令済みの首都圏4都県と同じ2月7日まで
15 ・新型コロナ、国内初確認から1年。これまでの全感染者数は30万人を超えた
20 ・女流義太夫演奏会は、夜公演を中止し、昼公演のみで実施(詳細)
24 ・喜多流「五蘊会」中止(詳細)




2021年2月


★第3波★
【前半】
歌舞伎の裏方のほうは、コロナ禍のイレギュラーな公演スタイルに次第に慣れてきている感じ。政府や東京都のコロナ関連の支援情報に合わせて、裏方の各者も対応を合わせながら、仕事をしている(経営者、総務関係者は、忙しい日々)。
新規感染者数は、少しずつ減ってきているが、15日には京都春恒例の「都をどり」公演の中止が発表され、まだまだ長いトンネルの中に居ることを改めて実感させられる。公演が中止されれば、三味線業界など花柳界に付随した人たちの仕事が減ってしまうということ。背後で芸能を支えている人たちの経営が心配である。
【後半】
気温も上がり、だんだん春めいてくる。休日の銀座も、人出が多くなってきた。感染者数も減り、ワクチンの接種もはじまる、少し緊迫感も薄らいできたような雰囲気。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
2 ・歌舞伎座「二月大歌舞伎」(2/2-27 三部制 各2演目 緊急事態宣言の発出に伴う行政よりの協力依頼を受け開演時間を繰り上げ。第一部は10:30開演)(詳細)
・政府は、栃木県を除く10都府県への緊急事態宣言の期間を1か月間延長し、来月7日までとすることを正式に決定
6 ・「2月文楽公演」(国立劇場 2/6-22 三部制 開演時間を早めて20時までに終演する体制)(詳細)
11 ・「2月花形歌舞伎」(博多座 福岡 2/11-24 二部制 各2演目)(詳細)
13 ・福島県と宮城県で震度6強の揺れを観測する地震が発生
15 ・昨年に引き続き4月の「都をどり」(祇園甲部歌舞会)が中止されることが発表される(詳細)
17 ・医療従事者を対象にワクチンの先行接種を開始
22 ・東京都で新たに178人の感染確認。3カ月ぶりの100人台


*2月16日現在の「2020年度文楽公演予定表」(文楽協会WEBサイトより転載)




2021年3月


★第3波★
【前半】
歌舞伎座は、8月に再開して毎月なんとか公演が行えている(8月に一度、舞台関係者に微熱の症状が出て中止されたが)。舞台裏も、少しずつコロナ前に近づきつつあるが、感染に神経をとがらせる日々が続いている。
【後半】
歌舞伎座公演は、3/26に陽性者が確認され、第二部が中止に。緊急事態宣言が解除されているが、感染者は微増しており、すっきりとしない日々が続く。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)を除く6府県(大阪、兵庫、京都、愛知県、岐阜県、福岡県)で緊急事態宣言が解除される
3 ・文楽三月地方公演のうち倉敷・藤沢・府中は公演中止(詳細)
4 ・歌舞伎座「三月大歌舞伎」(3/4-29 三部制各2演目)(詳細)
・国立劇場「3月歌舞伎公演『時今也桔梗旗揚』」(東京 3/4-27)(詳細)
5 ★首都圏の1都3県に出されている緊急事態宣言、3月7日の期限を2週間延長し、21日までとすることが決定
・NY 1年ぶり映画館再開。収容人数25%に制限
6 ・「三月花形歌舞伎」(南座 京都 3/6-21)(詳細)
20 ★オリンピック・パラリンピックの海外観客の受け入れ断念を発表
21 ★およそ2か月半にわたった首都圏1都3県の緊急事態宣言を解除(詳細)
22 ・首都圏の緊急事態宣言、午前0時に全面解除。飲食店に対する短縮要請は「午後8時まで」から「午後9時まで」へ
25 ・感染者が微増するなか、東京オリンピック聖火リレーが福島県からスタート
26 ・歌舞伎座「三月大歌舞伎」第二部に出演中の清元の浄瑠璃方に陽性者が確認されたため、第二部の公演中止に(詳細)
・プロ野球開幕。延長戦を行わず、多くの外国人選手が開幕に間に合っていない。観客数も引き続き制限
27 ・前日に引き続き、歌舞伎座「三月大歌舞伎」第二部の公演中止(詳細)




2021年4月


★第4波★
【前半】
少しずつまた感染者が増え始める。連日、大阪の新規感染者数が東京を上回るという状況。高齢者へのワクチンの接種がはじまるが、明るい気分にはまだ全然なれない雰囲気。公演にはまだ直接大きくは響いていないが、不安は続く。

【後半】
三度目の緊急事態宣言が発出され、伝統芸能全体が大きな影響を受ける。どの程度の休業要請が求められるのか、ギリギリまでわからなかったため、現場は混乱。たとえば歌舞伎座では、4月公演が27日まで行われるはずだったが、25日から上演中止。その発表が、前日の正午過ぎに発表になるという状況。国立系の劇場も同様で、大阪の文楽公演は、25日が千穐楽だったが、25日の上演中止(発表は、前日の24日)。大きな衝撃…。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
3 ・歌舞伎座「四月大歌舞伎』」(東京 4/3-28 幕間ありの三部制、客席数50%)(詳細)
・「4月文楽公演」(国立文楽劇場 大阪 4/3-25)(詳細)
5 ・全国で初めて大阪、兵庫、宮城の3府県に「まん延防止等重点措置」が適用
6 ・大阪の感染者数、過去最多719人確認。8日連続で東京を上回る(東京は、399人)
7 ・1回目の緊急事態宣言発出から1年
10 ・「市川海老蔵特別公演」(御園座 愛知 4/10-20)(詳細)
12 ・東京都、京都府、沖縄県に「まん延防止等重点措置」の実施(期間は、東京都は5/11まで、京都府、沖縄県は5/5まで)
13 ・大阪府の新規感染者数、初の1000人超え
15 ・京都市の祇園祭、山鉾の巡行を昨年に続いて今年も中止することを決定・発表
17 ・4月歌舞伎座公演の第三部、「まん延防止等重点措置」の適用に伴う行政よりの協力依頼を受けて、4/17から千穐楽4/28までは、開演時間を15分繰り上げ、午後8時までに終演するよう調整(詳細)
20 ・埼玉県、千葉県、神奈川県と愛知県に「まん延防止等重点措置」の実施(期間は、5/11まで)
24 ・国の緊急事態宣言及び自治体の要請等を受け、4/25-5/11までの国立劇場、国立演芸場、国立能楽堂、国立文楽劇場が主催公演中止を発表(詳細)
・国立文楽劇場(大阪)、4月公演最終日の25日の公演を中止し、24日を千穐楽に。人形遣いで人間国宝の吉田簑助が千穐楽で引退すると表明しており、24日の公演が最後となる。(詳細)
・東京の落語界は、東京都から無観客での開催を要請されたが、例外規定である「社会生活の維持に必要なもの」に該当すると判断。東京寄席組合や落語協会、落語芸術協会が協議して表明
25 ★国の3回目の「緊急事態宣言」が、東京都、京都府、大阪府、兵庫県に発出される(期間は、5/11まで)(詳細)
・歌舞伎座四月大歌舞伎、25日-27日まで上演中止。
28 ・東京都内の4寄席、5月1日から一転休業に。閣僚要請、都と再協議(落語芸術協会)
29 ・東京都、1027人感染確認、3カ月ぶりに1000人を超える。大阪府は、1171人




2021年5月


★第4波★
【前半】
大型連休の東京都は緊急事態宣言下のため、伝統芸能の公演もほとんど行われない。本来ならば3日に初日を迎えるはずの歌舞伎座も、公演が中止されており、静まりかえっている。
裏方さん、職人さんたちには、経産省の「一時支援金」、これからはじまる「月次支援金」、文化庁の「ARTS for the future!事業」についての情報をお伝えしている。
5/7に政府から緊急事態宣言の延長が発表される。東京都では、イベント開催の内容が緩和されたので、12日から歌舞伎座の公演も開催されることになった。政府や東京都の要請内容次第で、伝統芸能も動き方を変えざるをえない。いろいろ振り回されている…。
【後半】
東京文楽公演の出演者に陽性者があったため、5/18の公演の中止に。数日たてば、再開されると思ったが、そのまま千穐楽まで休演。実質5日間のみの公演となってしまった。なんとなく社会はモヤモヤとした雰囲気に包まれている。
5/26には、五輪公式スポンサーの朝日新聞がオリンピック大会の中止求める社説を掲載。オリンピックへの疑問の声がだんだん大きくなる。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
3 ・歌舞伎座「五月大歌舞伎」(5/3-28 幕間ありの三部制)*通常ならば「團菊祭」。(*一部公演中止 5月3日~11日)(詳細)
6 ・「渋谷・コクーン歌舞伎 第十七弾 夏祭浪花鑑」(5/6-30)。(*一部公演中止 5月6日~11日)(詳細)
7 ・政府、4都府県の緊急事態宣言延長決定(5/31まで)。愛知、福岡も5/12-31まで新たに対象に追加
8 ・7日の宣言延長の内容を受けて、歌舞伎座「五月大歌舞伎」を12日から開催することを発表(詳細)
・国立劇場系は、対応を検討中と発表
9 ・「文楽公演」(国立劇場 5/9-26)(*一部公演中止 5月9日~11日、18日〜26日。17日はもともと休演日。5日間のみの公演)(詳細)
11 ・7日の宣言延長の内容を受けて、国立系劇場が主催公演の開催を発表(詳細)
12 ・歌舞伎座、コクーン歌舞伎が初日をむかえる。歌舞伎座では、竹本の竹本葵太夫が濃厚接触者となったため、休演(16日から復帰)。
15 ・葵祭(京都)の行列、中止
16 ・北海道、広島県、岡山県に緊急事態宣言(5/16-31)。「まん延防止等重点措置」を群馬県、石川県、熊本県にも適用(5/16-6/13)
18 ・5月文楽公演(国立劇場・東京)に出演の吉田玉誉に陽性反応があったため、5/18の公演中止に。*5/17発表(詳細)
19 ・5月文楽公演(国立劇場・東京)千穐楽まで公演中止に。*5/18発表(詳細)
28 ・政府、北海道、東京、愛知、大阪、兵庫、京都、岡山、広島、福岡の9都道府県の「緊急事態宣言」延長決定(6/20まで)。「まん延防止等重点措置」についても埼玉、千葉、神奈川、岐阜、三重の5県の期限を6/20まで延長
29 ・「海老蔵歌舞伎」(明治座 5/29-30)(詳細)
31 ・「緊急事態宣言」の期限日だったが、二回目の延長で6/20まで延長




2021年6月


★第4波★
【前半】
緊急事態宣言が延長されたが、なんとなく緊迫感のないまま。なんとか歌舞伎や能の上演は続けられているが、ひとたび政治の命令が出れば、中止などに追い込まれる可能性もあるので、モヤモヤしながらやっている感じ。
【後半】
21日に、東京都も緊急事態宣言が解除されるが、皮膚感覚としては、特に大きな変化はないという感じ。能楽堂や一般公演の客席は、最前列は使用せず、他は通常通り詰めて全席使用しているが、歌舞伎座では客席数を大きく減らした状態が続いている(最前列や花道そばは使用せず、他も一部で2席並びのある変則千鳥という感じ)。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・京都薪能、2年連続で中止(開催予定日:6/1-2)(詳細)
2 ・「歌舞伎鑑賞教室 人情噺文七元結」(国立劇場 東京 6/2-23)(詳細)
3 ・歌舞伎座「六月大歌舞伎」(東京 6/3-28 幕間ありの三部制)(詳細)
・「6月文楽鑑賞教室」(大阪・国立文楽劇場 6/3-6/17)*国の緊急事態宣言の延長及び大阪府の要請等をふまえ、平日は公演等を実施し、土曜日・日曜日(6月5日(土)・6日(日)・12日(土))の公演は中止に(詳細)
4 ・「海老蔵歌舞伎」(南座 6/4-13)(詳細)
19 ・「6月文楽若手会」大阪公演中止(大阪・文楽劇場 6/19-20)。6/24-25の東京・国立劇場での公演は開催(詳細)
19 ・「六月博多座大歌舞伎」(博多座 6/5-19)(詳細)
20 ・「緊急事態宣言」の期限日
21 ・「緊急事態宣言」沖縄を除く9都道府県について解除される。東京や大阪など7都道府県は、まん延防止等重点措置に移行




2021年7月


新宿・末廣亭
★第5波(デルタ株)★
【前半】
東京都は、まん延防止等重点措置という状況だったが、緊張感は薄れている感じで、銀座も人出は多くなっている。12日からは、4度目の緊急事態宣言が出されるが、大きな差はないような状況。10日前後から、ぐっと気温が上がる。3日は、豪雨のため熱海で土砂災害。もうすぐオリンピックという雰囲気が全然しない。
7/1-10の末廣亭・上席では、講談の人間国宝・神田松鯉の怪談特集。初日の座席は、6割くらいだったが、9日はほぼ満席で賑わっていた。
【後半】
歌舞伎座、国立劇場、大阪の文楽劇場、各地の能楽堂などは、公演が続けられているところが多いが、地方の小規模の公演などが中止されているケースもある。オリンピックも開催され、緊急事態宣言への緊張感も薄くなり人出は多い。また、デルタ株に急速に置き換わってきたためか、月末近くから急速に感染者数が増えはじめ、初の3千人超えに。また、劇場が閉まる事態になるのか、不安な面も出てきた。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
3 ・「七月大歌舞伎」(大阪松竹座 二部制各2演目 7/3~18)(詳細)
・「歌舞伎鑑賞教室 義経千本桜(国立劇場 東京 7/3-27)(詳細)
4 ・歌舞伎座「七月大歌舞伎」(東京 第一部・第二部:7/4~29/第三部:7/4~16 幕間ありの三部制)(詳細)
11 ・歌舞伎座「七月大歌舞伎」第二部の舞台関係者1名が陽性。出演の片岡亀蔵が濃厚接触者に該当する可能性があるため、代役に。(詳細)
12 ★東京都、4回目となる緊急事態宣言の期間に入る(8/22までの予定)
16 ・「夏休み文楽特別公演」(大阪 文楽劇場 7/16~8/3)(詳細)
23 ★「第32回オリンピック競技大会(2020/東京)」開催(7/23-8/8)
24 ・「坂東玉三郎 特別舞踊公演」(京都南座 7/24-28)(詳細)
27 ・「東京2020 オリンピック・パラリンピック能楽祭 ~喜びを明日へ~」(東京・国立能楽堂 7/27-19,8/2-3,8/27,9/3)(詳細)
28 東京都新規感染者数、初めて3000人を超え、3177人の感染が確認




2021年8月

★第5波(デルタ株)★
デルタ株のまん延により、急速に感染者数が増え始める。伝統芸能の現場も、職域接種などでワクチン接種も進んでいるが、歌舞伎俳優や能楽関係などさまざま分野で、感染者が報告されるようになる。
前半は感染者が増えながらも、公演中止などは少なかったが、下旬には、公演の中止や延期、日程変更のお知らせがどんどん出てくる。昨年は、自粛のためだったものが、今年は、関係者に陽性が出た為というものが多い。どんなに対策をしていても、いつでも誰でもかかる可能性があるという状況になってきた。感染の危機感、これまでで一番、大きいかも…。9月が不安である。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
2 ・「坂東玉三郎 特別舞踊公演」(京都南座 8/2-24)(詳細)
・緊急事態宣言の対象地域に埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県を追加するほか、北海道、石川、兵庫、京都、福岡の5道府県にまん延防止等重点措置を適用(期間は8月2日から31日まで)。東京と沖縄の宣言の期限もこれに合わせて延長
3 ・歌舞伎座「花形歌舞伎」(東京 8/2-24 三部制)(公演情報詳細)。市川猿之助が陽性となったため、当面の間、休演(昨年8月の興行再開以来、歌舞伎座での歌舞伎俳優(幹部)の陽性者は今回で3例目)(詳細)
13 ・東京都新規感染者数(日別)5908人 ★過去最多
20 ・日本浪曲協会所属の曲師・沢村豊子、陽性の発表(詳細)
23 ・歌舞伎俳優の尾上右近、陽性の発表
・明治座ミュージカル『エニシング・ゴーズ』舞台関係者23名の陽性者が判明(詳細)
24 ★「東京2020パラリンピック競技大会」開催期間 8/24-9/5
・「能楽チャリティ公演」能楽師2名が陽性となり中止(詳細)
26 ・国立劇場おきなわが「特措法に基づく緊急事態措置に係る沖縄県対処方針」をふまえ、土日休館を発表(詳細)
27 ★緊急事態宣言の対象地域に北海道、愛知、広島など8道県を追加。宣言に準じる「まん延防止等重点措置」には高知、長崎など4県を追加(期限は9/12)
・ワクチン接種率:1回以上接種者 54.5% 2回接種完了者 43.5%(首相官邸Webサイト 令和3年8月27日公表)
・東京都新規感染者数(日別)4227人
29 ・朗読劇「天切り松 闇がたり〜闇の花道〜」公演延期を発表(出演の市川猿之助、尾上右近、佐々木蔵之介の全員が公演前の別々のタイミングで陽性に)
31 ・9月歌舞伎座の出演者に陽性者が出たため第二部の初日延期が発表される(中村歌昇、中村隼人を含む舞台関係者5名)(詳細)




2021年9月


歌舞伎座九月公演『東海道四谷怪談』絵看板

★第5波(デルタ株)★
【前半】
歌舞伎俳優の陽性者が少しずつ増え始めており、九月公演の第二部は初日が延期された(9/2-6まで休演)。裏方も含め、感染への危機感はこれまでで一番強いように感じる。第三部は、仁左衛門と玉三郎による『東海道四谷怪談』ということもあり、全日程全席完売。『桜姫』など、このところの歌舞伎座ではこのゴールデンコンビの演目が人気を博している。この時期も、歌舞伎座は座席を千鳥にしているが、デルタ株のまん延により、空席が目立つ。だが、この仁玉コンビの演目は、チケット争奪戦ともいえるほどの人気である。

9/12が期限だった緊急事態宣言も9/30まで延期となり、それに伴う公演中止なども出てきた。東京よりも地方の中止が多いという声も。
【後半】
理由はわからないが、新規感染者数が減り始める。月の初めの緊張感がどんどん薄れていく感じ。月末には、緊急事態宣言もすべて解除された。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
2 ・歌舞伎座「九月大歌舞伎」(東京 9/2-27 第二部は舞台関係者の陽性が確認されたため、9/2-6まで中止)(詳細)
・「市川猿之助 春秋座特別舞踊公演」(京都 9/2-5)(詳細)
3 ・「南座超歌舞伎」(京都南座 9/3-26)(詳細)
4 ・「文楽公演」(国立劇場 東京 9/4-21)(詳細)
7 ・歌舞伎座「九月大歌舞伎」第二部の初日の幕が開く(詳細)
9 ★東京や大阪など19都道府県について「緊急事態宣言」の期限を12日から30日まで延長することを決定。岡山と宮城については12日で解除し「まん延防止等重点措置」に移行
10 ・フランス・パリの老舗キャバレー「ムーランルージュ」営業再開
29 ・自民党総裁選が行われ、岸田文雄氏が新総裁に
30 ★東京や大阪など19都道府県に発令されていた「緊急事態宣言」と、8県に適用していた「まん延防止等重点措置」を全て解除。東京では7月12日から81日間におよんだ




2021年10月


理由はわからないが、新規感染者数が減っており、10/9には東京都の新規感染者数が二桁になる。一ヶ月前とは、全く異なる雰囲気。冬にまた感染拡大の波が来るのではという予測もあるせいか、緊急事態宣言が解除されても、それほど人出は増えていないようにも感じる。歌舞伎座の客席も、部によるが空席が目立つときも多い。
寄席のほうは、盛況で人気の落語家がトリの部は、札止めなども(ただし座席は千鳥のまま)。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
2 ・歌舞伎座「十月大歌舞伎」(10/2-27 3部制 各2演目)(詳細)
・国立劇場『通し狂言 伊勢音頭恋寝刃』(10/2-26)(詳細)
・「坂東玉三郎 特別公演」(愛知・御園座 10/2-24)(詳細)
5 ・「十月花形歌舞伎 GOEMON」(大阪松竹座 10/5-27)(詳細)
30 ・「令和3年錦秋文楽公演」(大阪・国立文楽劇場 10/30-11/21)(詳細)
31 ・衆議院選挙、投開票日




2021年11月


新規感染者数も減り、コロナ前に少し近づいてきたか、という印象の日常。休日の銀座も、人出が多くなってきた。歌舞伎座や寄席なども、少しずつ客席の人数を増やす方向に動き出す方向に。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」(東京 11/1-26)(詳細)
2 ・国立劇場 歌舞伎公演「一谷嫩軍記」(東京 11/2-25)(詳細)
11 ・赤坂大歌舞伎(東京 11/11-26)(詳細)
15 ・歌舞伎座の2022年1月以降の公演形態に関して、お知らせが出る(客席は、これまでより少し増えて、間隔を空けた2席並びを原則とする配置に)(詳細)
21 ・鈴本演芸場の客席、11月下席の定員をほぼ100%(約270席)に戻す




2021年12月




【前半】オミクロン株の話題も上るが国内では新規感染者数もぐっと減り、まちの人出や夜の会食も増えてくる。久しぶりに夜の会食をした、という声も多い。ワクチン3回目接種の時期がいつになるのかというニュースがよく報じられる。
【後半】日本では感染拡大がいったん鎮まっているが、下旬ごろから少しずつ増え始め、来月あたりからまた感染が拡大してくるのではないかという不安が出てくる。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・歌舞伎座「十二月大歌舞伎」(東京 12/1-26)(詳細)
2 ・「吉例顔見世興行」(京都南座 12/2-23)(詳細)
4 ・12月文楽公演(東京 国立劇場 12/4-17)(詳細)
22 ・大阪でオミクロン株の市中感染が確認される
23 ・東京都の新規感染者数、37名(日別)




2022年1月



1月6日、東京都内で積雪

★第6波(オミクロン株)★
お正月から上旬くらいまでは、感染者数も低かったためどのジャンルもお客さんが比較的多い状況。お正月気分もあり、ずいぶん楽観的な雰囲気があった。だが、中旬くらいから新規感染者数がどんどん増え、一万人を超えたあたりから急に気分が変わり、また劇場の客席がガラガラになる状況に陥る。1月は短い期間に、ジェットコースターのように雰囲気が変わった。
舞台関係者の陽性確認も少しずつ出てきている。そうしたなかで、大阪の文楽の公演が中止にならないまま、無事に千穐楽を迎えることができた。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
2 ・歌舞伎座「春大歌舞伎」(東京 1/2-27 ※第一部のみ1/14公演中止)(詳細)
・「坂東玉三郎 初春特別舞踊公演」(大阪・松竹座 1/2-23)(詳細)
・「プペル」(東京・新橋演舞場 1/3-20 ※1/19公演中止)(詳細)
・「初春文楽公演」(大阪・文楽劇場 1/3-26)(詳細)
3 ・「通し狂言 南総里見八犬伝」(東京・国立劇場 1/3-27)(詳細)
6 ・東京都内で積雪
9 ・まん延防止等重点措置(広島県、山口県、沖縄県 2/20まで)
14 ・歌舞伎座「春大歌舞伎」※第一部のみ1/14公演中止(詳細)
16 ・「日本全国 能楽キャラバン! 新春五番能」(京都観世会館)公演中止
21 ・まん延防止等重点措置(群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、岐阜県、愛知県、三重県、香川県、長崎県、熊本県、宮崎県 2/20まで)
21 ・「市川海老蔵企画公演いぶき、」公演中止(東京・新橋演舞場 1/21-23)(詳細)
22 ・東京都の新規感染者数、11,227名(日別)




2022年2月



歌舞伎座の地口行燈

★第6波★
月のはじめには、初めて新規感染者数が2万人を越える。歌舞伎俳優をはじめ舞台関係者の陽性確認もどんどん増え、東京国立劇場の文楽公演は冒頭あたりから公演中止となる。寄席関係も感染者が多く代演などが多く見られる。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・歌舞伎座「二月大歌舞伎」(東京 2/1-25 ※第三部のみ2/14~19公演中止)(詳細)
・「渋谷・コクーン歌舞伎 天日坊」(東京・シアターコクーン 12/1-26 ※第2/25-26公演中止)(詳細)
2 ・東京都の新規感染者数、21,576名(日別)
2 ・「坂東玉三郎 特別舞踊公演」(博多 2/2-19)(詳細)
4 ・第24回オリンピック冬季競技(北京オリンピック2022 2/20まで)
5 ・まん延防止等重点措置(和歌山県 2/27まで)
5 ・「2月文楽公演」(東京・国立劇場 2/5-22 ※第一部 2/6~12公演中止 第二・三部のみ2/5~12公演中止)(詳細)
12 ・まん延防止等重点措置(高知県 3/6まで)
14 ・歌舞伎座「二月大歌舞伎」※第三部のみ2/14~19公演中止(詳細)
20 ・「第22回 地域伝統芸能まつり 翔~時を超えて、翔けるこころ~」公演中止(詳細)
24 ・ロシア軍、ウクライナへの軍事侵攻を開始
25 ・「渋谷・コクーン歌舞伎 天日坊」※2/25-26公演中止(2/25に3名、同26日に28名、合計31名(出演者・スタッフ含む)に陽性反応が確認)(詳細)




2022年3月




★第6波★
昨年の12月ごろは、コロナもそろそろ終息するのかも…という期待が漂う雰囲気だったが、3月上旬は「自分もコロナに感染するかも…」という危機感がこれまでで一番高い状況になっている。歌舞伎の裏方の世界でも感染者が出たという話もちらほら聞こえてくる。
地域によっても感染状況が異なり、政府の「まん延防止等重点措置」も地域ごとに実施期間がバラバラ(年表内の情報は、不足あり)。
3/5時点では、以下の通り(内閣官房のWebサイトより https://corona.go.jp/emergency/
・令和4年1月9日-令和4年3月6日 広島県
・令和4年1月21日-令和4年3月6日 新潟県、三重県、長崎県、宮崎県
・令和4年1月21日-令和4年3月21日
  群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、香川県、熊本県
・令和4年1月27日から令和4年3月6日 福島県、長野県、岡山県、福岡県、佐賀県、鹿児島県
・令和4年1月27日から令和4年3月21日
  北海道、青森県、茨城県、栃木県、石川県、静岡県、京都府、大阪府、兵庫県
・令和4年2月5日から令和4年3月6日 和歌山県
・令和4年2月12日から令和4年3月6日 高知県 

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
2 ・「三月花形歌舞伎」(京都・南座 3/2-13)(詳細)
3 ・歌舞伎座「三月大歌舞伎」(東京 3/3-28)(詳細)
・「近江源氏先陣館-盛綱陣屋-」(東京・国立劇場 3/3-27)(詳細)
4 ・北京パラリンピック2022 (3/13まで)
11 ・「六本木歌舞伎2022 ハナゾチル」(3/11-13,3/18-21)(詳細)
21 ・令和4年1月から実施されていたまん延防止等重点措置、21日をもって全ての都道府県で終了




2022年4月



コロナの感染拡大は、おさまりきってはいないものの次第に陽性者が出ても社会全体が「慣れっこ」になりつつあるという感じ。テレビのニュースのトップは連日、ウクライナ情勢。
京都の都をどりは、戦後初となる二年連続の休演だったが令和になって初めて公演が行われた。しかし客席は、あまり芳しくなく、平日の公演では一階席が7割程度、二三階はほとんど人が入っていない状況だった。大阪の文楽公演は、一部の『義経千本桜』は人気で7割くらいの客入りだが、二部、三部は3割くらいでガラガラ。
歌舞伎座も、人気のある部はまあまあだが、一階席も空席が目立つ。ゆっくりとコロナ前に戻っているような気もするが、経営的には厳しい状況にあるといえる。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・「都をどり」(京都・南座 4/1-24)(詳細)
2 ・歌舞伎座「四月大歌舞伎」(東京 4/2-27)(詳細)
・4月文楽公演(国立文楽劇場 大阪 4/2-24)(詳細)
13 ・「猿之助と愉快な仲間たち 第2回公演 『森の石松』」(六本木トリコロールシアター 4/13-214)(詳細)
15 ・「陽春花形歌舞伎」(御園座・名古屋 4/15-24)(詳細)




2022年5月



コロナ禍に入ってから休止していた5月恒例興行「團菊祭」が復活。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
2 ・「南座 歌舞伎鑑賞教室」(京都 5/12-18)(詳細)
12 ・歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」(東京 5/2-27)(詳細)




2022年6月



歌舞伎座の公演では、コロナ以降、初めて部をまたいでの出演が可能となる。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
2 ・歌舞伎座「六月大歌舞伎」(東京 6/2-27)(詳細)
3 ・「六月博多座大歌舞伎」(福岡 6/3-23)(詳細)
27 ・関東地方、梅雨明け(かなり早い!)
29 ・大阪松竹座「七月大歌舞伎」3年ぶりの船乗り込み(詳細)




2022年7月


3年ぶりに開催された水止舞(7月10日・東京都大田区)

3年ぶりに開催された京都の祇園祭

★第7波(オミクロン株「BA.5」)★
新規感染者数も落ち着いて、まちなかにも人があふれてきたところだったが、だんだん増えてきて、12日には東京都の新規感染者数が1万人を超えた。劇場関係などでも、感染者が出たために中止というニュースがちらほらではじめる(上旬)。
7月の2週目くらいまでは、もうコロナへの関心は薄れつつある雰囲気だったが、その翌週から急激に感染者が増え始め、ついには歌舞伎座公演が千穐楽まで全て中止という事態にも及ぶ。歌舞伎座七月公演は、『風の谷のナウシカ』もあり、大道具をはじめ裏方さんも苦労して道具を準備されていた。「あんなに大変だったのに、中止は悲しい」という裏方さんの声も聞かれた。
2022年1月と同じように、ジェットコースターのような落差がまた起こり始めた。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
6/30 ・巡業「松竹歌舞伎舞踊公演」(6/30-7/31)(詳細)
1 ・東京都新規感染者数 3,546人(日別)
3 ・関西・歌舞伎を愛する会 第三十回「七月大歌舞伎」(大阪 7/3-24)(詳細)
「令和4年7月歌舞伎鑑賞教室『紅葉狩」(国立劇場 7/3-27)(詳細)
4 ・歌舞伎座「七月大歌舞伎」(東京 7/4-29)(詳細)
8 ・海老蔵、十三代目市川團十郎白猿襲名披露演目を発表(詳細)
10 ・参議院選挙
12 ・東京都新規感染者数 11,511人(日別)
16 ・文楽「令和4年夏休み文楽特別公演」(大阪 7/16-8/4)(詳細)
17 ・歌舞伎座「七月大歌舞伎」第三部、尾上丑之助 休演のお詫び(詳細)
18 ・歌舞伎座「七月大歌舞伎」第一部における新型コロナウイルス感染症「陽性」に関するご報告(詳細)
18 ・歌舞伎座「七月大歌舞伎」第三部、寺嶋知世 休演(詳細)
19 ・歌舞伎座「七月大歌舞伎」第一部、第二部、第三部とも 7月19日から22日までの公演を中止(詳細)
20 ・東京都新規感染者数 20,401人(日別)
20 ・「松竹歌舞伎舞踊公演」7月20日(水)~7月25日(月)公演中止(詳細)
22 ・東京都新規感染者数 34,995人(日別)
22 ・歌舞伎座「七月大歌舞伎」 7月23日(土)以降 全公演中止についてのお知らせが発表される、(詳細)
25 ・国内でサル痘の感染者が初めて確認される
28 ・東京都新規感染者数 40,0406人(日別)




2022年8月


大阪・国立文楽劇場

歌舞伎座の公演では、コロナ以降、初めて全座席を販売(ただし、花道横、4階幕見席を除く)。このところの感染拡大を受けて、感染リスクを減らすため通常は下手のみの黒御簾音楽のスペースを上手にも設ける(カコイのレンジ窓が下手と上手につく)。なんでもなさそうなことだが、上手側からも音が流れてくるのがちょっと不思議。
中旬あたりから歌舞伎座の舞台関係者の陽性が多くなり、上演中止や代役による公演が続く。千穐楽近くになり、本役に戻り当初の予定通りの上演が可能になる。大変な状況だったが、豪華な代役が話題になるなど、歌舞伎の底力やたくましさも感じられた。
歌舞伎座では、コロナ禍になってから、毎月裏方も含めて千穐楽あたりでPCR検査を実施していたが、8月はじめに文化庁より舞台制作並びに興行会社に対し、公演前や公演期間中の一斉PCR検査は不要との通達があった。これを踏まえ、8月末から公演前事前PCR検査を実施しないこととなった。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
2 ・「坂東玉三郎 特別公演」(京都 南座 8/2-28)(詳細)
5 ・歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」(東京 8/5-30)(詳細)
15 ・歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第一部は、舞台関係者複数名に新型コロナウイルス感染症「陽性」の確認がされたため8月15日-17日の上演を中止(詳細)
19 ・歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第二部は、舞台関係者複数名に体調不良の諸症状が出たため8月19日の上演を中止(詳細)
・歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第三部は、舞台関係者複数名に体調不良の諸症状が出たため8月19日の上演を中止(詳細)
・歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第一部は、代役をたてて再開(詳細)
21 ・「超歌舞伎2022」(新橋演舞場 東京 8/21-9/3)(詳細)
29 ・歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」は代役が続いていたが、おおむね本役に戻る(詳細)




2022年9月


日本素義会の舞台


9月は比較的コロナの影響を受けなかった公演が多かったように感じる。9月25日には、素人の義太夫発表会「日本素義会」も東京にて開催された(観客はマスク着用、アルコール消毒、入り口の検温、事前予約)。少しずつコロナ禍のトンネルが抜けてきたのか…という気分。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
3 ・「令和4年9月文楽公演」(東京 国立劇場 9/3-20)(詳細)
4 ・歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」(東京 9/4-27)(詳細)
8 ・大阪文化芸術創出事業「歌舞伎特別公演」(大阪 松竹座 9/8-11)(詳細)
・「超歌舞伎202」(京都南座 9/8-25)(詳細)
26 ・感染症法に基づき、新型コロナウイルスの陽性者全員の発生届を作成する「全数把握」の対象が全国一律で見直される。東京都内でも感染者全体の8割が簡略化の対象に
28 ・神田松鯉・神田伯山 歌舞伎座特撰講談会(歌舞伎座)(詳細)
30 ・東京都新規感染者数 4,558人(日別)




2022年10月


厳島神社観月能


コロナの新規感染者数も少し下火となり、外出する人も多くなる。11日からは、旅行喚起を促す「全国旅行支援」もスタートし、旅行者も増えてきた。
歌舞伎座では、「客席内およびロビーでのお食事は黙食」として、食事を再開。座布団、ブランケットの貸し出しを再開。劇場スタッフによる入場時の切符もぎり再開。少しずつ、コロナ禍前の状況に近づきつつある。
また、10/31の歌舞伎座「十三代目市川團十郎白猿襲名披露記念 歌舞伎座特別公演」(2日間公演)から、大向うが復活。4階の幕見エリアに、アクリル板を用いた大向う専用ブース(2名用)が設置され、劇場が指定した大向うのみに限って、許されることとなった。久しぶりに劇場に「成田屋!」と大向うがかかった(詳細)

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・歌舞伎公演『通し狂言 義経千本桜』(東京 国立劇場 10/1-26)(詳細)
・「坂東玉三郎 特別公演」(名古屋 御園座 10/1-23)(詳細)
3 ・「日本怪談歌舞伎」(大阪松竹座 10/3-25)(詳細)
4 ・歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」(東京 10/4-27)(詳細)
5 ・「平成中村座 十月大歌舞伎」(10/5-27)(詳細)
7 ・3年ぶりに広島の宮島にて「厳島神社観月能」が開催される(詳細)
11 ・全国対象の観光需要喚起策「全国旅行支援」がスタート
31 ・「十三代目市川團十郎白猿襲名披露記念 歌舞伎座特別公演」(歌舞伎座 10/31-11/1)(詳細)




2022年11月


歌舞伎座は延期になっていた十三代目市川團十郎襲名の公演。11月は顔見世でもあるので、歌舞伎座の正面に櫓があげられた。


★第8波★
歌舞伎関連は9月以降は、落ち着いており公演中止もなかったが、今月初旬には「平成中村座」にて陽性者があり、公演中止に。歌舞伎座は、公演中止は免れたが、松本白鸚ら俳優数名が体調不良で休演。
第8派に突入した感じがある。歌舞伎座の客席は、11月は花道脇のみ空けてある状況。
歌舞伎座座席表の画像)。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
2 ・「歌舞伎公演 “歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵”」(東京 国立劇場 11/2-25)(詳細)
3 ・「平成中村座 十一月大歌舞伎」(11/3-27 *11月4日-6日公演中止)(詳細)
4 ・「平成中村座 十一月大歌舞伎」11月4日・5日・6日公演中止。公演関係者に体調不良の症状が出たため、PCR検 査を実施したところ、新型コロナウイルス感染症「陽性」確認のため。(詳細)
5 ・「令和4年11月文楽公演」(大阪文楽劇場 11/5-27)(詳細)
7 ・歌舞伎座「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 十一月吉例顔見世大歌舞伎 八代目
市川新之助初舞台」(東京 11/7-28)(詳細)
9 ・「松竹特別巡業」(11/9-23)(詳細)
30 ・23日に皇居内で行われた宮中祭祀「新嘗祭」に関わった宮内庁職員ら計十数人が新型コロナウイルスに感染したことを宮内庁が発表




2022年12月



日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
5 ・歌舞伎座「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 十二月大歌舞伎 八代目
市川新之助初舞台」(東京 12/5-26)(詳細)
6 ・12月文楽公演(東京 国立劇場 12/6-19)(詳細)
・文楽鑑賞教室・社会人のための文楽鑑賞教室(東京 国立劇場 12/6-19)(詳細)




2023年3月




長く続いてきたコロナ禍もそろそろトンネルの出口にさしかかった雰囲気に。三月に入り、気温も急上昇。陽気もよく、浅草などの観光地をはじめ街中はかなりの人出。外国人観光客の姿も多くなってきている。
3月13日の「マスク着用」が個人の判断に委ねられるところがひとつの節目か。歌舞伎座では4月公演から従来通りの「大向う」を実施すると発表があり、このまま感染が再拡大しなければ、いよいよコロナ禍の終わりになるのかもしれない。
歌舞伎座の大道具会社については、コロナ禍に突入した令和2年4月から3年間にわたり雇用調整助成金を利用して時短勤務を実施していたが、令和5年4月1日以降はコロナ特例が廃止されるため、時短勤務を終了。コロナ禍以前の従来の勤務体系に戻ることになった。

日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
1 ・歌舞伎座では4月公演より「大向う」を従前のとおり3階席所定の場所から実施すると発表(詳細)
10 ・日本芸術文化振興会が運営する各施設では、国の方針を踏まえ、3月13日以降はマスクの着用はお客様ご自身の判断に委ねることと発表(詳細)
13 ・マスクの着用は、個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本となる(厚生労働省)(詳細)
13 ・松竹運営の劇場「各劇場内ではマスクの着用を推奨に」(詳細)




2023年4月


日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
29 ・日本時間4月29日午前0時以降に日本に入国する場合には、有効なワクチン証明書又は出国前検査証明書の提示は不要(詳細)




2023年5月


日にち できごと(赤字は伝統芸能関連)
5 ・WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は記者会見で、新型コロナウイルスをめぐる世界の現状について、3年前に出した「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の終了を宣言。WHOの集計では、3月3日時点で、新型コロナにより世界で約7億6500万人が感染し、692万人以上が死亡した。
8 ・新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行(詳細)