フェイク・ベッコウ(改良) BEKKO
Vol. 12

(12)2013年5月「第17回テクニスト研究会技術交流会」にて講演

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13/06/14 UP

歌舞伎の櫛の復元をさぐるために、いろいろなセミナーなどに参加しています。そのなかで、品川ビジネスクラブが主催する3Dプリンタのセミナーで、独立行政法人理化学研究所 大森素形材工学研究室 主任研究員の大森整先生にお目にかかる機会に恵まれました。こちらのやりたいことを大森先生にお伝えしたところ、技能継承支援機構の活動「テクニスト技術研究会」が主催する「テクニスト研究会技術交流会」にて講演をさせていただくことになりました。技能継承支援機構とは、大森整先生が機構長を務めておられる組織で、ものづくりの技能継承などに主眼を置いた活動をされています。


技能継承支援機構 http://www.techni.st/


大森整先生について http://www.asi.riken.jp/jp/laboratories/chieflabs/materials/

【技能継承支援機構Webサイトより抜粋】
我が国のものづくり技術・技能の継承は、国力の維持・充実とともに、国際競争力の強化を図り、我が国の安全・安心で持続的な発展を確固たるものにする上で喫緊かつ永続的な課題であり、具体的施策が講じられようとしております。このような背景において技能継承支援機構では、さまざまな側面から「技能継承支援」を行う活動の中核的役割を果たして参りたく活動を開始致します。
技能継承支援機構(TECHNIST INSTITUTION)の構築において、”技能継承方法のサイエンス”を独自の研究手法として、難加工・複雑形状の研削・研磨・切削工程、特殊表面処理工程および金型成形工程に関わる加工技術テンプレートおよび加工プロセスカルテの関連分野をテクニスト技術研究会の皆様と相乗的かつ発展的なネットワーク化を図るコーディネーション・スキームを目指します。
”技能継承方法のサイエンス”を目指す意味から、「テクニシャン」と「サイエンティスト」を融合させた造語「テクニスト(TECHNIST)」をドメインネームと定めました。

テクニスト研究会
左は東京都市大学/テクニスト研究会 亀山雄高さんです。講演に際して、さまざまな面でお世話になりました(右は田村民子)。

【テクニスト技術研究会主催 第17回テクニスト研究会 技術交流会】
開催日時:2013年5月10日(金)15:00-17:00
開催場所:独立行政法人理化学研究所 和光研究所(埼玉県和光市広沢2-1)

プログラム
1.開会挨拶 大森整 機構長
2.日本の伝統芸能の道具が抱える技術継承の課題〜自然素材に代わる人工素材とその加工技術
伝統芸能の道具ラボ 田村民子
質疑応答・討論
3.複合粒子を利用した微粒子ピーニングの開発とトライボロジー特性改善への応用
東京都市大学/テクニスト研究会 亀山雄高 委員
4.ファブラボ、3Dプリンティングの動向、質疑応答・討論
5.総括 大森整 機構長・亀山雄高 委員

田村のほうからは、「伝統芸能の道具ラボ」を始めた理由や調査・支援の概要と、歌舞伎で使う櫛が抱える課題についてお話をさせていただきました。伝統芸能の道具は、自然素材を材料とし古来の手仕事によって作られるものが多いのですが、そうした「伝統技術」では解決できないアイテムもいくつかあります。適切な人工素材を選び、新しい技術で解決するほうが環境への負荷が少なく、また効率的である場合もあります。そうした案件で、技能継承支援機構さんのお力を借りられたらいいなぁと感じています。当日も、さまざまな観点からアドバイスや提案、先行事例などをたくさん教えていただきました。
また、単なる技術の話だけではなく、もっと根っこの「伝統とはなにか?」「文化とは何か?」というあたりのお話や、どんな風に新しい作り手をみつけたらいいのか?という具体的なご意見など、大きな視点からのアドバイスも多くいただきました。

今回参加させていただいて、大森先生をはじめこの会にいらっしゃる方々が実際の社会に大きく切り込み、深く関わりながら理念を具現化されようとしている姿勢に感銘を受けました。比べるにはおこがましいのですが、私自身も単に「伝統芸能の道具」の傍観者ではなく、現場で困っている課題を実際に解決したいと考えて支援活動をはじめています。歌舞伎の櫛についても現物を持参して大森先生などいろいろな方に見ていただきましたが、いろんな角度から関心をもってくださいました。これから、少しずつ連携させていただけたらと思っています。

田村民子
全く異なる分野での発表でしたので、大変緊張しました。(写真提供 テクニスト技術研究会)

テクニスト研究会
技術交流会後に開かれた懇親会の記念写真です。3時間以上、さまざまな話題で楽しくお話をさせていただきました。写真前列中央が大森整先生です(その右が田村民子)。