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歌舞伎や能楽では、小道具の材料としてよく竹を利用します。たとえば歌舞伎では、竹のはしご、能楽では扇の素材という風に。しかし、現場の人たちに話をうかがうと、良質な竹(たとえば真っ直ぐな竹など)が年々入手しづらくなっているようなのです。歌舞伎の百姓蓑を復元する際に、植物学者の北澤哲弥さんに関わっていただきましたので、竹のこうした事情をお伝えしました。北澤さんによると、特殊な竹を使っているわけではないので、竹藪の管理をきちんとすることで、良質な竹がとれるのではないか、とのことでした(詳しくは、以下の記事をご覧ください)。竹林の管理が放置されると、竹同士がこすれあったり、枯れた竹が倒れて傷がついたり、さらには景観的にもよくないということでした。
百姓蓑の復元プロジェクト (8)2014年5月 チガヤについて学ぶ自主勉強会を開催
http://www.dogulab.com/activity/k-8/mino09.html
荒れた竹藪(写真提供:北澤哲弥さん)
日本人は昔から身近にある竹を使って、いろいろな生活道具を作ってきました。現在はプラスチック製品が多くなったので、竹はあまり使われなくなってしまいましたが、歌舞伎や能楽をはじめ、出初め式のはしご、酉の市の熊手、凧など、伝統文化ではまだまだ竹を利用しています。たとえば伝統文化のために竹藪を適切に管理し、良質な竹をつくってくれる環境保全団体を探すなど、なにか具体的な行動を起こしていきたいと思います。
歌舞伎の百姓蓑を一緒に復元した小道具会社の近藤真理子さん、長村みち子さんと取り組んできたいと思っています。
北澤哲弥さん
株式会社エコロジーパス取締役。江戸川大学非常勤講師。「私たちは生物多様性の保全を専門とするコンサルティング会社です。近年、CSRとして生物多様性の保全活動に取り組む企業が増えてきました。しかし、本当に地域に貢献する活動にするためには、多くのハードルがあります。私たちは、企業が事業所や工場の敷地、その周辺の森川海などでおこなう生物多様性保全活動をサポートすることで、持続可能な社会の実現を目指しています。」
トップ画像:東京にある竹材の問屋さんにて撮影