復元したキセル袋。中には銀色の長いキセルが入っています。
2016年7月に完成した絞り染めの「キセル袋」ですが、このたびやっと舞台デビューすることになりました。
御園座(みそのざ:愛知県名古屋市)という劇場の柿葺落(こけらおとし)公演「四月大歌舞伎」の『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』という演目です。
このお芝居では、八ツ橋という美しい傾城(けいせい:格の高い遊女)がヒロインとして登場します。その八ツ橋が使う大きなキセルを入れるための袋として、復元した絞り染めのキセル袋が使われます。
このキセル袋については、小道具方の近藤真理子さんから、絞り染めの布地について道具ラボが相談を受けました。
絞りの目が大変細かく、同等のよい布地がみつからないということで、道具ラボがお付き合いをしている「京都絞り工芸館」さんをご紹介し、復元が実現しました。
2018年4月の御園座の柿葺落公演において、八ツ橋を演じておられる中村雀右衛門丈に、近藤さんがこれまでの経緯をお話したところ、キセル袋のデビューについて記事として公開することを快諾くださったとのことです。俳優さんにもデビューを応援していただき、キセル袋も幸せ者ですね。