歌舞伎の髪飾り「鹿の子」の藤色
「鹿の子」の出来のよしあしは、この案件に関わりはじめた当初は全然判断できませんでした。
「絞り染め」であるというだけで、それはうんと贅沢品に見えたものです。
しかし、いい「鹿の子」に触れ、それを見続けていると
門前の小僧なんとやらで、だんだん質のよしあしわがかるようになります。
あるとき、床山の高橋敏夫さんがダメモトで発注していた「鹿の子」が
仕事場に届いたと言われるので拝見しに行きました。
写真では違いがあまりわからないと思いますが、直に見て触ると月とすっぽん。
(この頁のトップの藤色の「鹿の子」は良質です)
うん、なるほど、これはいけません。
確かに「麻の葉模様」にはなっているけど、横線が妙に目立っているし
色合いもよろしくない。
巾が狭い。
手触りは、ごわごわ。
やはり、京都の吉岡健治さんを頼るしかありません。
吉岡さんにお電話すると布地探しが難航されているとのこと。
(どんな風に布地探しが大変かは第5回の記事をごらんください)
とにかく吉岡さんにお任せして、待つしかありません。