アセチロイドの櫛(所蔵:光峯床山、撮影:トニータニウチ)
2011年4月に、ものづくりの専門家である堀野州男さんと出会い、
歌舞伎床山の高橋敏夫さんや、アセチロイドの櫛づくりに挑戦中の職人・八田春海さんとも
情報を共有しながら、櫛の歯の加工法をいろいろ検討しました。
最大の難関は、「アセチロイドの櫛の歯を少量生産する方法」です。
従来のやり方では、アセチロイドの櫛の制作は分業制になっていて
専門職人である「歯引き屋さん」という分野がある。
その詳細は、企業秘密で教えてもらえないが、作業をするまでの準備(「道具立て」と呼ばれる)
が結構大変とのこと。
櫛の歯の間隔が均等になるようにピッチを出す器具がどうやらあるらしい。
なんとなくはわかってきましたが、作業している現場を見ていないので
詳細が全くわかりません。
5月。
堀野さんは、木製の櫛の作業が参考になるのではないかと
伝統手法で作られている櫛の資料用のDVDを貸してくださいました。
木製の櫛の場合は、1人の職人が全ての工程を担当するようでした。
もちろん櫛の歯も、手作業で1つずつやっています。
さっそく、高橋さん、八田さんにも見ていただきました。
これまで自己流で歯引きに挑戦していた八田さんにとっては
発見が多かったようで、トライした歯を見ると
以前の歯よりも各段に進歩していました。
これは、いけるのではないかと、期待が膨らみました。
(その日は、結構みんなで盛り上がりました!)
しかし、1本の櫛にはたくさんの歯があり、1つでも失敗すると
全てがダメになってしまいます。
相当熟練しないと、1本の櫛を作り上げることは難しく、
値段の折り合いも難しそうでした。
またもや、壁にぶち当たります。