フェイク・ベッコウ(改良) BEKKO
Vol. 3

(3)2011年1月 歌舞伎のかんざし職人として歩みはじめた人・八田春海さん

歌舞伎床山の高橋敏夫さんとジュエリーデザイナーの八田春海さん

12/03/28 UP

2011年1月7日。
ファッション・プロデューサーの黒田幸さんのお引き合わせで、
ジュエリー職人の八田春海(はった はるみ)さんにお目にかかりました。

まだお正月の気分も残っていた時期だったので、我が家の火鉢でお餅を焼いて食べたり
3人で歌舞伎の写真集を見たりしながら、あれこれお話をしました。
春海さんは、まだお若いのに自分の方向性などをしっかり見据えていましたし、
さりげない気遣いなども細かくできる方でした。
ちょっと、ほんわりした性格もとても好感が持てました。
直接お会いしてみて、この方なら大丈夫という確信がもてましたので、
さっそく歌舞伎の床山の高橋敏夫さんにお話をして、お二人を引き合わせることにしました。

2011年2月12日。
春海さんは、まだ歌舞伎を見たことがなかったので、
高橋さんにお会いする前に、二人で歌舞伎を観劇しました。
(ル テアトル銀座 二月花形歌舞伎『於染久松色読販』)
華やかな演目ということもあり、春海さんもとても楽しまれていました。
やはり歌舞伎が好きでないと、つとまらない仕事なので、こちらもホッとしました。

その後、床山の高橋さんのお仕事場に訪問。
歌舞伎の女方の髪を飾るかんざしや櫛などの現物を見せていただき、
アセチロイドのかんざしなどに対する床山さんの要望などを細かくうかがいました。
春海さんもトライしてみたいということで、さっそくいくつかの作業に
とりかかってみることでお話がまとまりました。

2月15日には、高橋さん、黒田さん、春海さんの4人で会って、
アセチロイドの髪飾りについて、課題点を明らかにし、今後の作戦を練りました。

このアセチロイドの案件は、その後も苦労の連続なのですが、
春海さんという若い職人がこの世界に入ってこられたことに、ひと筋の希望を感じています。
しかし、同時にまた新しい課題もみつかりました。
受け入れる体制の問題です。
新しく職人になる方が技術を習得する環境を整えること、
職人の仕事で生計を立てられるように仕事量、収入面を組み立てること(これが非常に難しい)、
独特の世界なので、スムーズにそこになじめるようにサポートすること、
などなど。
やっていかなくてはならないことは、山積みです。