百姓蓑(復元)MINO
Vol. 19

(19)2018年5月 復元した百姓蓑が歌舞伎座デビューしました

百姓蓑

18/05/21 UP

歌舞伎小道具方の近藤真理子さんから相談を受け、2014年1月から復元に取り組みはじめた歌舞伎小道具の「百姓蓑(ひゃくしょうみの)」。株式会社エコロジーパスの北澤哲弥さんから復元方針を指示していただき、千葉県立房総のむらのみなさんから材料のチガヤの収穫・後処理・製作方法をご指導いただいたおかげで、2015年3月に完成させることができました。


色みや固さなどに課題は残っており、現在もまだ模索を続けていますが、2018年5月の歌舞伎座公演で、舞台デビューを果たしたと近藤さんから連絡をいただきました。


團菊祭五月大歌舞伎 平成30年5月2日~26日
百姓蓑の登場場面:『雷神不動北山櫻』大詰 第一場 大内塀外の場
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/564


復元した百姓蓑を着けた片岡千次郎丈(左)と中村東三郎丈(右)




デビューした百姓蓑は、4枚。実際には6枚の蓑を小道具会社で製作したそうですが、2枚はサイズが規定通りに作れなかったため舞台で使用することはできない、つまり没になっているそうです。舞台で使えるような蓑を作るためには、高い技術が必要ですね。


今後も、北澤哲弥さんにご協力をいただきながら、色と固さの改良法についてさぐっていきたいと思っています。これからも百姓蓑の情報をお伝えしていきますので、応援をよろしくお願いいたします。


百姓蓑の表側




百姓蓑の裏側。ネットのようなものを作り、そこにチガヤの束をうえこんでいく




北澤哲弥さん
株式会社エコロジーパス取締役。江戸川大学非常勤講師。博士[環境学]。専門は植物生態学。
「私たちは生物多様性の保全を専門とするコンサルティング会社です。近年、CSRとして生物多様性の保全活動に取り組む企業が増えてきました。しかし、本当に地域に貢献する活動にするためには、多くのハードルがあります。私たちは、企業が事業所や工場の敷地、その周辺の森川海などでおこなう生物多様性保全活動をサポートすることで、持続可能な社会の実現を目指しています」
*「百姓蓑」の復元には、ボランティアとしてご参加いただいています。


株式会社エコロジーパス http://ecopath.co.jp/


※俳優さんから許可をいただいて、掲載しています。
※写真はすべて近藤真理子さんから提供いただきました。