2018年3月18日(日)に、(公財)多摩動物公園、(公財)日本自然保護協会と伝統芸能の道具ラボの共催で、イベント「日本の伝統文化のなかに生きる動物たち」を開催しました。「動物園✕伝統芸能✕自然保護NGO」というユニークな座組で、ワークショップやシンポジウム、展示などを行いました。
多摩動物公園 http://www.tokyo-zoo.net/zoo/tama/
日本自然保護協会 http://www.nacsj.or.jp
【イベント】日本の伝統文化のなかに生きる動物たち
日本の伝統芸能である能や歌舞伎、また郷土芸能のなかには、さまざまな動物たちが登場します。そこで使われる小道具にもイヌワシの羽など動物の体の一部が使われています。郷土芸能のパフォーマンスや親子向けワークショップ、ミニシンポジウムをとおし、日本の伝統文化と日本産動物の深い関わりを学んでもらいました。
多摩動物公園のシカ
開催日:2018年3月18日(日)
場所:多摩動物公園
共催:(公財)多摩動物公園、(公財)日本自然保護協会、伝統芸能の道具ラボ
後援:国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)、環境省
■■ 親子ワークショップ「シカを学んで、鹿おどり」 ■■
5歳以上の子どもを対象としたワークショップ。動物園の飼育係からシカの角を見ながら、生態について学び、東北の芸能「鹿踊」の踊り手から、鹿踊の意味、道具の素材についての説明を受けました。
その後、動物園から出た廃材のクジャクやダチョウの羽、どんぐり、まつぼっくり、動物のえさが入っていたペレット袋やレッサーパンダが食べた後の笹などを材料にして、オリジナルの鹿おどりの頭(かしら)をつくりました。最後は、鹿踊のステップを習い、みんなで輪になって踊りをしました。
踊りの体験をしながら、シカや人の暮らしと命のつながりについて楽しく学びました。
日 時 平成30年3月18日(日)10時30分~12時
場 所 多摩動物公園 動物ホール
対 象 5歳以上の子どもとその家族 定 員:20組 参加費:無料
講 師 小岩秀太郎氏(全日本郷土芸能協会理事・東京鹿踊代表)ほか、鹿踊り手のみなさん
鶴田由美子(日本自然保護協会事務局長)、多摩動物公園職員
■■ ミニシンポジウム「日本の伝統文化のなかに生きる動物たち」 ■■
650年の時を超えて舞いつがれている「能」の道具のひとつ「羽うちわ」は、今では絶滅の恐れのあるイヌワシやクマタカなどワシ・タカの尾羽でつくられています。伝統芸能の中から日本人の動物へのあこがれや祈りの気持ちをひもとき、何世代にもわたって自然とその恵みを受けつぐこと、文化を受けつぐことのつながりについて考えました。
日 時 平成30年3月18日(日)13時30分~15時
場 所 多摩動物公園 動物ホール
対 象 小学生以上 定 員:100名 参加費:無料
◆プロローグ 講演「飼育係から見るワシ・タカの魅力」
多摩動物公園職員 中島亜美氏
◆講演「天狗の羽うちわに見るワシ・タカのちから」 能楽師 東川光夫氏(宝生流)
◆パネルディスカッション「伝統芸能と日本人の動物観」
パネラー:東川光夫氏(宝生流・能楽師)、小岩秀太郎氏(全日本郷土芸能協会理事・東京鹿踊代表)、田村民子(伝統芸能の道具ラボ 主宰)、永井清氏(多摩動物公園園長)
コーディネーター:鶴田由美子氏(日本自然保護協会 事務局長)
(撮影:石井陽子氏)
■■ 鹿踊りパフォーマンス ■■
岩手県に伝わる「鹿踊り(ししおどり)」は、自然の恵みへの感謝や、自然や命を敬う気持ちを込めて踊りつがれてきた郷土芸能で、鹿の角や馬の毛をつけた頭(かしら)と色彩鮮やかな衣装をまとって踊ります。今回は、岩手県一関市の「行山流舞川鹿子躍」の踊りを伝える「東京鹿踊」による演舞です。
動物園の開園前には、儀式として、入り口ゲートをたたえる「門ほめ歌」を奉納してもらいました。
日 時 平成30年3月18日(日) 10時30分~、13時~(各20分程度)
場 所 多摩動物公園 正門入った広場 参加費 無料
■■ 展示「日本の伝統文化のなかに生きる動物たち」 ■■
能や歌舞伎、郷土芸能を彩るさまざまな道具。長い年月を経て使いつがれてきた道具に注目して見ると、かつての人びとを取り巻いていた自然環境や、さまざまな生きものたちとのつながりが見えてきます。何百年も受けつがれてきた伝統芸能の中に、どんな生きものたちの姿が見つけられるでしょうか。
期 間 平成30年3月15日(木)~3月28日(水)
場 所 多摩動物公園 ウォッチングセンター エントランス
内 容 天狗の羽うちわ/鹿踊りが教えてくれること/百姓蓑の復元(伝統芸能と里山保全)/生物や文化の多様性と日本の自然を守ること など