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上郡・佐用ロータリークラブさんからお声がけをいただき、兵庫県の佐用町で活動されている「南光子ども歌舞伎」のみなさんに向けた講演を行ってきました。「南光子ども歌舞伎」は、古くから伝わる農村舞台「上三河の舞台」(国指定重要有形民俗文化財)を守り活用するために、隣接する三河小学校で平成4年に結成されたもの。近年は、少子化によって歌舞伎を演じる子どもの数が減少、指導者の高齢化などもあり、今後の活動をもっと元気にするにはどうしたらいいだろうかとのことで、ご相談を受けました。田村は地芝居の専門家ではないので最初のうちはご遠慮したいと申し上げていたのですが、上郡・佐用ロータリークラブの方からの熱心なご依頼で、お引き受けすることにしました。
南光子ども歌舞伎の上演の様子(神戸新聞WEBサイト 2016.3.7)
「南光子ども歌舞伎クラブ」の現状をどうとらえ、どうしていくのがいいかについては、地方の歌舞伎を研究されている舘野太朗さん、韓国の伝統音楽などを中心に研究されている神野知恵さん、地方の歌舞伎に詳しい蒲池卓巳さん、全日本郷土芸能協会の小岩秀太郎さんに多くを教えていただき、舘野さんを通じて他の地域の地芝居の関係者の方からも貴重な情報を寄せていただきました。ありがとうございました。
「上三河の舞台」
「南光子ども歌舞伎」では、平成27年3月に『義経千本桜』を上演されておりその記録映像を見せていただいていました。そこで講演では、東京の歌舞伎座でもたびたび上演されている同演目を歌舞伎座の大歌舞伎では、どんな風に上演されているのかを、大道具の仕事を中心に紹介しました。また、子どもの数が減っているなどの課題を抱える「南光子ども歌舞伎クラブ」が今後、どのようにしていけば元気に活動を続けていけるのか、外部者の立場から少し提案をさせていただきました。
講演の前には、ロータリークラブさんから、「南光子ども歌舞伎」へテレビなどの電化製品を、また農村舞台へは寄付金を贈る贈呈式が行われました。講演は子どもさんたちには少し難しい部分もありましたが、がんばって聴いてくださいました。子どもさんたちからは、大歌舞伎での公演について「私達と一緒のもあったし、違うのもあった」と、違いを楽しんでいただけたようでした。また「歌舞伎の練習、頑張ります」という言葉もいただきました。
「上三河の舞台」の見学会の様子
講演後は、ロータリクラブの人たちと農村舞台の見学に出かけました。農村舞台は、小学校から歩いて5分もかからない場所にありました。舞台については、保存活動をされている方から解説をいただきました。想像していたより立派な舞台で、驚きました。中二階がある特殊な構造なのですが、忠臣蔵の「七段目」のためのものと聞いて、納得しました。歌舞伎に詳しいからなら想像がつくと思いますが、七段目では二階の部屋が重要な鍵となってくるため、二階屋体がないと、それらしい七段目はできないのです。かなり芝居に凝っていて、ほかの舞台と競り合う気持ちが強かったことが感じとれて感動しました(舘野さんによると、七段目のための中二階は神奈川の地芝居小屋にも結構あるそうです)。
「上三河の舞台」の廻り舞台は、特殊な機構。この車輪で回ります。
舞台の下には、広い空間があって、楽屋として使っていたそうです。奥の階段を上ると舞台下手に出られます。
「南光子ども歌舞伎」の歌舞伎は2年に一度、農村舞台で公演をしていて、来年は公演の年だそうです。でも、できるかどうかはまだわからないとのこと。すぐに解決は難しいと思いますが、なんとか運営面を工夫して、少しずつ立て直してほしいなと思いました。今後も、子ども歌舞伎の様子については、情報をいただけることになりましたので、引き続き応援していきたいと思っています。
上三河の舞台(兵庫県佐用郡佐用町上三河)
明治29年に新築移設された舞台。皿回し機構の回り舞台がある他、「屋根裏回転式」という回り舞台とは逆方向に回転する中二階を吊り下げる珍しい機構をもつ。昭和50年9月3日に国指定重要有形民俗文化財に指定。
●概要
歌舞伎をもっと、楽しもう!「南光子ども歌舞伎クラブ」のこれからを考える
主催:上郡・佐用ロータリークラブ 講演者:田村民子
日時:2016年10月22日(土)14:00 〜 15:00
場所:三河基幹集落センター
この日の贈呈式、講演については後日、地元の新聞である神戸新聞に記事としても紹介されました。
●地芝居に関連するサイト
地芝居ポータル http://www.jishibaiportal.com
全日本郷土芸能協会 http://www.jfpaa.jp/
全国地芝居連絡協議会の情報もあります。
地芝居を研究されている舘野太朗さんのWebサイト http://tar02.blogspot.jp/
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講演