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歌舞伎の小道具のための竹材など、伝統芸能の道具のための良質な竹材を確保するために活動を続けていますが、環境保全の専門家である北澤哲弥さんから、竹についてのよい資料を教えていただきました。一般社団法人日本森林学会が発行している定期刊行物「森林科学」2010年2月No.58「特集 拡がるタケの生態特性とその有効利用への道」という記事です。
一般社団法人日本森林学会
http://www.forestry.jp
この特集では、主にモウソウチクについて書かれてありましたが、道具の素材となるマダケについても重要な情報がありました。まず、現在の状況をざっくりまとめると、以下のような感じです。
日本の山野に育成する大型のタケは、おもにモウソウチク、マダケの2種類です。モウソウチクは、おもにタケノコ栽培のため、マダケは工芸品などの竹材として利用するために植えられていました。ところが、タケノコの輸入自由化(1970年代)による価格の暴落や、タケノコ農家の高齢化、マダケについていえば、竹材の代替資材の普及などにより次第に竹林が放置されるようになりました。
荒廃しつつ拡大している竹林は、モウソウチクが多い。一方、私たちにとって重要なマダケは、天狗巣病(テングス病)という悪い病気が西日本を中心にはやっていて、「日本のマダケは消滅の危機にあるといえ、今後の動向を注視する必要がある」という心配な記述がありました。学術からの情報も適切に収集しつつ、私たちの行動も進めていきたいと考えています。
(写真提供:長村みち子さん)