伝統文化のための竹プロジェクト
Vol. 7

(7)2015年11月 竹工芸を体験

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

15/11/05 UP

伝統文化の道具の素材となる「竹」について、さまざまな角度から勉強中の私たちですが、竹メンバーの一員である長村みち子さんが、竹を使った工芸のワークショップに参加してこられました。以下は、長村さんによるレポートです。

***

竹プロジェクトで竹林に入って竹の生態を勉強中の我々ですが、今回、偶然、とあるワークショップの情報を仕入れました。メトロクス東京さんで行われるワークショップ「四海波 花籠(しかいなみ はなかご)」です。
http://metrocs.jp/n-crafts/blog/?p=10409

OLYMPUS DIGITAL CAMERA メトロクス東京

私自身は製作は専門外なので、これは一度自分も体験しておいた方がいずれ役に立つかなという気持ちと、こちらの指導をされる大橋重臣さんの【別府竹細工 伝統工芸士】という肩書きにピーンと来ました。「お会いして、竹の現状についてどう感じてらっしゃるかお話が聞きたい」と瞬間的に思い、即申込み。ほぼ毎回満席とのことで、竹芸に興味のある方は思った以上に居るんだな…と感じました。

初心者向けということで、「誰でも作れますよ。失敗した人は居ません。大丈夫です!」と笑顔で仰る先生に対し、花籠の見た目が一見複雑そうなので、こちらは説明を聞きながら出来るかどうかドキドキ。種類の違う竹籤(たけひご)を、交差していく作業を繰り返すと、だんだんと形になっていきます。楽しくなってガンガン進めていくんですが、調子に乗って曲げる方向間違えてるのを直していただいたり…。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

結構な力を必要とする作業工程もあり、竹を編むのも力仕事なんだなーと実感しました。「竹細工は作り手の個性が出るので、同じ材料・同じ作り方でも少しずつ見た目が違うんです。」そんな言葉を聞いたものですから、同じ机で共にWSを受講された皆さんにお願いして作品を一緒にパチリ。これは確かに、ひとつひとつの『顔』の違いがわかりますね。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

初めは不器用な自分が大丈夫かなと不安でしたが、とても楽しく有意義な時間が過ごせました。WS終了後、大橋先生に「現状」について伺う機会に恵まれたのですが、大分でもこの10年ほどで竹の質が落ちているという事。理由に関しては、『温暖化』の影響もあるのでは…という事。また、大橋先生と共に指導にあたって下さった方からも「大分の職人であっても、竹が手に入らなくなってきている」というお話を聞き、竹産業事態が、今まさに大変なんだと改めて感じています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 大橋重臣先生

大橋重臣先生。メトロクス東京様。指導してくださった中村様・芝田様。写真の撮影や、記事にする許可も快く頂き、本当にありがとうございました。竹に色んな形で従事する、様々な職種の方々にお話を聞いていますが、やはり共通しているのは「ここ5~10年で質が落ちている」というのがキーワードの様です。温暖化が原因なら、北上して竹林を作ればいい…なんて単純にはいかなさそうだし。土地が変われば竹の性質が変わってしまう事もあるので難しいところです。まだまだこれからも調査の旅は続きます。

(文と写真:長村みち子さん)

***

竹を使った道具を作り続けるためには、「素材の確保」「技術の継承」の2つの側面がありますが、竹の質が落ちているというのは、地球規模での取り組みが必要な問題でもあるようです。私たちができることには限界がありますが、できるだけ多角的に知識を学び、この問題に取り組んでいきたいと思っています。