十月大歌舞伎の女方の髪について、ざっと書いてみます。
『新版歌祭文 野崎村』は、田舎娘の「お光」と裕福な町人娘の「お染」が登場します。歌舞伎では、役によってヘアスタイルが決まっており、それぞれの身分や境遇がわかるようになっています。田舎娘は、飾りもシンプルで銀色の「すすきのかんざし」をさしていることが多いです(すすきといっても、花のような形をしています)。一方、裕福な娘は飾りも豪華です。お光とお染はその対比がよくでています。
お染の髪については、以前記事を書いているので、以下にご紹介します(写真付きです)。
結綿のおしどり掛け(歌舞伎美人Webサイトより)
http://www.kabuki-bito.jp/kabuki_column/hanakazura/201002.html
『伊勢音頭恋寝刃』の仲居の万野。今回は玉三郎丈が演じています。通常は、「割っ笄(さっこう)」という髪型ですが、ちょっと違うなと思って床山さんに問い合わせたところ今回は「おたらい」にしているということでした。「おたらい」は小村雪岱の絵でも見たことがあります。
『寺子屋』の千代は「島田くずし」。髷の形が複雑でとても美しいです。衣裳が収縮色の黒から膨張色の白に変わるため、髪のボリュームを見極めるのが難しいそうです。戸浪(となみ)は、「しのび返し」。武家の女房はふつうは「丸髷」ですが、戸浪はそれほど立派ではないということから「しのび返し」にしているようです。
十月大歌舞伎
十七世 中村勘三郎二十七回忌 十八世 中村勘三郎三回忌 追善
平成26年10月1日(水)~25日(土)
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2014/10/post_80.html
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