『二人藤娘』は、「藤の精」を二人の俳優が演じるという新しい趣向の舞踊です。舞台全体が藤にあふれていますが、それぞれの藤の花について、ジャンルごとにみていきたいと思います。
【髪にさす藤のかんざし <床山>】
まず髪には、藤のかんざしをさします。これは床山が「つまみかんざしの職人」に手配をします。俳優さんによって、お好みの形があるようなので、床山がその意図をくみとり、つまみかんざしの職人に指示しながら作らせているようです。以前、取材をさせていただいたつまみかんざしの職人さんの記事があるので以下にご紹介します(残念ながら、去年、お亡くなりになられました)。
つまみかんざしについての記事
http://www.kabuki-bito.jp/special/tepco/38/
『藤娘』の髪型は、元禄時代を表しているそうですよ。以前、取材した記事に少し関連部分があるので、以下にご紹介します。
『藤娘』の髪型についての記事
http://www.kabuki-bito.jp/special/oshimatsubaki/01/
【手に持つ藤の枝 <小道具>】
藤の精が手に持っている藤の枝は、小道具が準備します。近くで見ると、意外と大きいです。藤の枝については、詳しく取材をしたことがないので、今度、小道具さんに教えていただきたいと思っています。
【背景の藤の花 <大道具>】
背景は松の大木と藤の花です。藤の花を極端に大きくスケールアウトさせることで、踊り手(俳優)の身体を可憐に小さく見せる効果があります。藤の花は、大道具から造花の職人に発注して作ります。以前、取材をした記事がありますので、そちらをご紹介します。この記事のなかで、『藤娘』の道具帳をご紹介していますが、それは「梅幸型」です。2014年3月の公演では、小村雪岱(こむらせったい:日本画家、舞台美術も手掛けた)による道具帳をもとにしています。モチーフは、松と藤で同じですが、ずいぶんと印象が異なります。
間口の広い歌舞伎座の舞台を存分にいかしており、また大道具さんが細やかな神経で丁寧な仕事をされていて素晴らしい背景になっています。
歌舞伎座の大道具を支える職人 造花
http://kabukizabutai.co.jp/news/535.html
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