『籠釣瓶花街酔醒』の八ツ橋の衣裳は、場面ごとに異なりますが、「見染(みそめ)」の衣裳が一番豪華です。道中でよくみられる前で結んだ大きな帯は「俎帯(まないたおび)」という名前で呼ばれています。『助六』の揚巻も俎帯を締めています。
八ツ橋の俎帯の柄は決まりがあってどの俳優もだいたい同じですが、写真集などを見比べてみると、金糸の刺繍のあるなしなど微妙に違うところがあります。また結んだ帯の形などにも差がみられて面白いです。
「打掛(うちかけ)」は、衣裳担当者は単に「かけ」と呼びます。八ツ橋のかけの袖の模様は御簾繍(みすぬい)というそうです。すだれみたいな、あの「御簾」に模様が似ているからでしょうね。かけの袖には、房のついた飾り紐がついています。小さなパーツなので、そこまでご覧になる方は少ないと思いますが、これも俳優によって金、銀と色が違っています。六世中村歌右衛門の写真集をみると銀。五代目坂東玉三郎の写真集では、金。そして、2012年12月新橋演舞場で五代目尾上菊之助の舞台では、白系統でした。
2012年12月新橋演舞場での五代目尾上菊之助の八ツ橋の扮装については、以下の記事に扮装写真がありますのでご覧下さい。
歌舞伎美人ニュース 菊之助が挑む『籠釣瓶花街酔醒』の八ツ橋
http://www.kabuki-bito.jp/news/2012/11/post_369.html
次郎左衛門もうっとりしていますが、客席もみんな吸い寄せられる美しい扮装ですね。
関連記事一覧: