昨年、一昨年に引き続き、港区エコプラザ(東京)で、講演をさせていただきました。
このたびは、生物多様性コンサルタントの北澤哲弥さんと一緒にお話をしました。
伝統芸能と自然の関わりvol.3~歌舞伎の「蓑(みの)」と里山の生物を例に考える~
https://minato-ecoplaza.net/eco-event/report/210926-traditional-culturevolvol-3/
2021年9月26日(日)14:00~15:30
1:伝統芸能と自然(田村)
2:草地の自然と人々の利用(北澤)
3:北澤・田村の対談
歌舞伎の百姓蓑が復元されるまで
4:質問タイム
田村からは、歌舞伎や能、文楽、日本舞踊などの伝統芸能が、いかに「自然」と関わりが深いかについて、事例を挙げながら紹介をしました。たとえば、能には柳や桜などの植物の精が主人公になる作品があること、能楽堂の舞台の背景にはいつも松が描かれていることなど。また、歌舞伎の小道具には、竹やチガヤ、ワラなどを材料にしたものが多くあること。そして、だんだん手に入れにくくなっている材料が増えてきていることや、そうした動植物の天然素材の加工技術を持った人が減ってきていることなどについてお話しました。
田村民子(左)と北澤哲弥さん(右)
北澤さんからは、草地にもいろいろな種類があること。一見、豊かな緑に見える場所も、昆虫やさまざまな草花が生きることができる草地と、そうした生き物がいない人工的な草地があることなどをたくさんの写真を見せてもらいながら、学びました。こうしたことを教えてもらうと「眼」が変わります。
後半では、長い間作ることができないと言われていた歌舞伎の舞台で使う「百姓蓑」の復元について、具体的にそのプロセスを報告しました。この復元には、北澤さんも深く関わってくださっていたので、当時を振り返りながら、お話をしました。
最後は、参加者のみなさんにもできることを私たちから提案。野焼きボランティアや里山保全ボランティアに参加してみる、なにか買うときも、その商品の背景に思いを巡らせて商品を選ぶ、また歌舞伎などの伝統芸能を見に行くことも、めぐりめぐって環境保全の応援になることなどをお伝えしました。
当日は、歌舞伎の小道具を担当する藤浪小道具さんから実物の道具をお借りして、展示も行いました。
休憩時間や講演後には、みなさんにもそばで見ていただいたり、触ってもらったりしました。小道具会社の人も来てくださっていたので、みなさん、たくさん質問もされていました。
なかには、小学生のお子さんもいらっしゃいましたが、さまざまな種類の蓑にとても興味をもってくださり、写真を撮ったり、触ってみたり、眼を輝かせていたのが印象に残りました。
コロナ禍の緊急事態宣言下という時期でしたが、多くの人にお話を聞いてもらえて、有意義な時間でした。
ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。
講座の様子の写真については(2点)、港区エコプラザさんから提供いただきました。