銀座エルメスのギャラリーで開催中の「シャルロット・デュマ展」を見てきました。
シャルロット・デュマは、アムステルダムを拠点にする写真家。現代社会における動物と人間の関係性をテーマに撮影を行い、2014年からは、日本の在来馬を追いかけて作品を発表しているとのこと。
屋外の光がたっぷりと満ちた会場に、馬にまつわる写真、映像、モノが、気持ちよく展示されていました。
感染予防のために、店内を通り抜けず、裏手のエレベーターから8階のフロアへと向かいます。
展示会場に入って、一番最初に目にとびこんできたのは、なんとワラで作られた馬沓(うまぐつ)。
え? と、ちょっと戸惑うワタシ。
洗練された空間に、ぽわんとあったかい道具があって、うれしい裏切りからのスタート。
会場入り口で手渡されたパンフ「馬とオブジェに導かれて シャルロット・デュマによる散文」を読むと、興味深いことが綴られていました。
デュマは、調べ物をしていて馬沓の存在を知る。馬沓とは、文字通り、馬がはくためののワラの靴。
この素朴な道具がまだあるか調べたところ、最初のうちはみつけられなかったが、ギャラリーのスタッフが探し出したというのだ。
作り手は、新潟県湯沢町のわら細工職人の石沢さんと小林さん。
と、ここにきて、ワタシの頭の引き出しが、ばかーんと開いた。
そうだ、歌舞伎の小道具にも、馬沓ってあるじゃないかと。
そして、今、作れる人がいなくて、困っていると言っていたと。
というわけで、ちょっとこれから、小道具さんにお知らせしてみることにします。
あ、展覧会のことを、ほとんど書いていませんが、さすが、上質な内容でした。
ゆったりした洗練された空間で、ひとつずつ作品を眺めているうちに、心がほぐれていきました。
そして、日頃なじんでいないくせに、馬の優しい目と大きな体温が恋しくなりました。
エルメス!ということで、ちょっと会場へ足をふみいれることに躊躇しそうですが(最初のころ、ドキドキした)、
ふつうのギャラリーだと思えば、へちゃらです。入場無料!
(会場内の撮影OK)
追記:歌舞伎の小道具さんに確認したら『矢の根』に出てくる馬子の役が腰にぶら下げている、とのこと。
歌舞伎の馬沓よりも、展示されているもののほうが、かかとのあたりがしっかり作ってあるようでした。
次に上演されるときは、チェックしないとですね。
「ベゾアール(結石)」シャルロット・デュマ展
Bezoar by Charlotte Dumas
2020.8.27(木)~11.29(日)
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム(東京都中央区銀座5‐4‐1 8・9階
入場無料
https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/forum/200827/
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