バーチャルリアリティ(VR)の能。
そして、原作を含めてあまりなじんできていなかった「攻殻機動隊」という題材。
ちょっと、びびりながら世田谷パブリックシアターにでかけてきました(2020年8月21日)。
これから見る人のためにも、あまり詳しくは書きませんが、バーチャルリアリティって、知らない間にずっと進んできているんだなと実感しました。
観客はゴーグルをつけないで見るのですが、アニメーションのように実体が消えたりして、おおっ!というシーンもありました。
内容については、これまで攻殻機動隊になじんでいない人が、一夜漬けでその世界をすべて知ることはできないと思います。
でも、たぶん、ある1つのことだけ知っておけば、大丈夫だと思います。
それは、主人公である草薙素子(くさなぎ もとこ)が、カリスマ性のある魅力的な女性であること。
新作能でもそのままシテになっています。
オーソドックスな能でも、たとえば小野小町が若いときに美しく才能にあふれた女性だった、
ということを知っていないと小町物の作品の意味がわからないですよね。
それと同じで、シテにあたる素子がどんな人なのか、そこがわかれば、物語の骨子は理解できるような気がしました。
これは付随的なところですが、
新作能、という認識ででかけたので、謡や囃子が録音(電子音)だったのが、ちょっと残念でした。
そして、音量が私にはとても大きく感じられました。
関係者にきいたところ、制作側は大きな音を望んでいたらしく、それでも音を絞ってもらったとのこと。
ふだんから、生の音に親しんでいる人と、電子音のエネルギッシュな大音量を心地よいと感じる人の指向性の違いなのでしょうね。
おもしろいですね。
能も、伝統を守っていくためにも、現代の観客が楽しめるスタイルを別立てで模索していかなければならない時代にきていると思います。
そのためにも、こうした他流試合みたいな公演に積極的にトライしていくべきだと思います。
「VR能 攻殻機動隊」公式サイト
https://ghostintheshellvrnoh.com
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