紙の手紙で文通している友人が何人かいます。そのうちのひとりは、お能を長くお稽古をしている女性。約束をして会うことはなく、能楽堂でばったり会うことがたまにあるくらい。携帯番号もあえて交換していない。そういう、レトロなつながり方が、なんだか面白く、心地よくて、ゆるっと楽しんでいます。会う頻度という意味でいうと「邂逅(かいこう)」といってもいいかもしれません。
いつも会いたい、会いたいときにすぐに会えるようにしたい。という気持ちもあります。でも、思うように会えない、自分の手のなかでどうしようもなく、ゆっくり会えるときを待つ、というのもすごくいいものです。
昨日は、その文通トモダタチと能楽堂で久しぶりの再会。国立能楽堂のパンフに書いた道成寺紀行も読んでくれていて「一緒に旅してる気分になれるから、何度も読んだ」と言ってくれました。たぶんリアルに一緒に旅をすることはないだろうけど、こんな同行も悪くないなと思いました。
そして別れ際に「袴は?」との投げかけ。「能の稽古は再開しないのか?」という意味。美代吉風に言うと「おつに回した言い方」ですよね。私はいろいろ余裕のない暮らしなので、私の分まで稽古してくださいと、お願いしました。うまく舞えたら、どんなにいいだろうな。
さて、今年いただいた年賀状のなかにアタリがありましたので、記念切手シートをもらってきました。猫好きにはたまらない、招き猫の図案。62円と82円を並べて貼りつけたい感じですよね。文通相手がいると、切手を買うのが楽しいです。もちろん、文字を書くのがメインなんですが、そこに至るまでの「あの人には、こんな切手で、こんなレターセットで〜」なんて思いながらのちまちまと準備する時間が、私はとても好きです。
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