しこみ自主勉強
Vol. 1

(1)2019年2月5日 「東北、山と暮らしの道具展」上映会&トークイベント

yamandogu00

19/03/12 UP

「東北、山と暮らしの道具展」という企画展に行ってきました。場所は、神楽坂フラスコ。
白くモダンな空間に、ワラや木のツルなどで作られたバッグやザル、ミノなどの民具が並んでいて、山里の空気がふわっと感じられるようでした。壁や棚に並んだ道具たちは、見るだけでなく、買うこともできました。
この開催期間中に、トークイベントがあったので、聴いてきました。

これからの生き方を考える jokogumoの10周年企画
「jokogumoの東北、山と暮らしの道具展 -生きること、暮らすこと。-」
2019年2月1日(金)~2月6日(水) 12:00~19:30(最終日17:00)
http://www.frascokagura.com/schedule/2019/02/jokogumo-3.html



トークイベントはこの展覧会を企画した、jokogumo(よこぐも)の小池梨江さんと、東京の国立でカゴアミドリという世界のカゴを扱う店を開いている伊藤征一郎さんの対談。
お二人とも、落ち着いた語り口なのですが、そこから発せられる内容は、かなり熱量がありました。
それぞれの店で、モノを売っているわけですが、単に売るだけでなく、それを作る人の生活、価値観をまるごと知って、ものづくりの背景も、消費者に届けようという姿勢が強くあるようでした。
「お金を稼ぐための販売」ではなく、「ひとつの運動」のようにも感じました。

それから、どちらの人の言葉だったか、忘れてしまいましたが、「本来、暮らしの道具というものは、自然を守ることにつながっている」という指摘も、なるほどなと思いました。
道具の素材、つまりいろいろな木をとることで、それが手入れになって、山全体としてみると保全になっている、というのです。これは、道具ラボの活動でも気づいてきていることなので、強く共感しました。

もうひとつ、これは小池さんが話されていたことで印象に残ったことがあります。
「山で暮らしている人たちは、とても満ちたりている。長くずっと同じところに住んでいても、その景色を飽きることなく、美しいと感じて暮らしている。自分たちの暮らしを、自分できちんとつかんでいる。だから、何があっても大丈夫」。
東京のような都会に住んでいると、なかなか「満ちたりている」という心持ちになりにくいですよね。
生きるっていうことについても、深く考えさせられるお話でした。

伝統芸能の道具もそうですが、手仕事の世界は、ビジネスとしてみると収益性が低く、子育てをするような若い人にとっては、なかなか「生業」には、なりにくいという側面があります。このあたりを、どうしていけばいいのか、というあたりにも話は広がりました。
ここについては、くっきりとした解決策は、出ませんでしたが、こうして少しずつ、同志のような人が集い、話していくことで、見えてくることもあるように思いました。

■上映会&トーク
「草・木・つるの恵み(民族文化映像研究所)」
伊藤征一郎(カゴアミドリ)×小池梨江(jokogumo)
日時 2019年2月5日(火) 18:30〜
場所 神楽坂フラスコ(新宿区神楽坂6-16)
カゴアミドリの伊藤さんは、職人さんが材料を取りに行くところにも同行されています。材料を見極め、採取し、運び出す。これが結構大変な知恵と労力がいるんですよね。
この展覧会を企画した、小池さんも大きな視点をもった素敵な女性でした。


会場には、道具を作るための植物の素材も展示されていました(トップの画像もすです)。
これらの植物のなかには、クゴもありました。
このクゴは、歌舞伎の簔を復元するときに、出会った植物で、ちょっと思い入れがあります。
ひとつでも、「顔なじみ」の植物があると、そこを手がかりに、他のものと比べたりできます。ちょっとずつ、ちょっとずつ、こうして知っていけたらと思います。

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