ちょっとマニアックですが、大道具の建具にまつわる用語「一本引(いっぽんびき)」について。
一本引とは、障子の建具が一枚の板のようにまとめて、すーっと開いていくしかけのことで、歌舞伎特有の不思議な動きです。普通なら障子が1枚ずつばらばらになっていて、別々に動きますよね。でも、それが一体化して動いていくというものです。
猿若祭二月大歌舞伎では、なんとこの一本引が、たくさん出てきます。
『大商蛭子島』の最初の場面では、ノーマルな一本引。『絵本太功記』では上手の屋体の障子が開く際に、一本引になりますが、障子全体の幅よりも、障子が引き込まれていく壁の幅のほうが狭い!ですね。『梅ごよみ』の「松本離れ座敷の場」でも、同様です。さて、どうなっているか? お芝居の夢を壊さないために、しかけはお伝えしませんが、建具ひとつをとっても、さまざまな知恵と工夫があることを感じていただけましたら幸いです。
猿若祭二月大歌舞伎
2月2日(木)~26日(日)
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/511
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